ステンレス精密加工で右に出る企業はいない松岡製作所

松岡にできない事は誰にもできない

1927年に医療器械メーカーとして創業した松岡製作所は、1950年代に新素材として開発されたステンレスに着目し、ステンレス加工部門を社内に立ち上げます。 

当時は、タイルなどで作られていた従来の「炊事場」が団地ブームの到来もあって「ステンレス流し台」に変換されつつあり、カウンター素材としてのステンレスが急速に普及し始めていた時期でした。

ステンレスカウンター需要が一気に高まる中、大手キッチンメーカーは大量生産でそれに応えますが、松岡製作所は敢えて加工技術を高める方向に進みます。

 

大量生産品に飽き足りない顧客や優れたデザインを実現したい建築家やインテリアデザイナーの要望に一つずつ応える形でステンレスカウンターやシンクなどの加工技術を高めていったのです。

 

社内にノウハウや技術力が備わってくるにつれて、その高い技術力を見込まれて、ステンレスによる芸術作品制作でも松岡製作所が指名されることが増えてきました。

 

イタリア人アーティスト、アレッサンドロ・メンディーニが広島築港100年を記念して1989年に制作した「パラダイスの塔」や大阪花博会場内のオブジェ「万華鏡」・オバマ大統領が献花した広島平和記念公園の献花台など、名だたる作品が松岡製作所によって制作されています。

今や、大手キッチンメーカーの技術者から「ステンレスで松岡にできない事は誰にもできない!」・・・そう言わしめる高みにまで技術力を磨いてきたのです。

広島「パラダイスの塔」

高級ステンレスカウンターの魅力を発信

1980年頃からシステムキッチンが普及するようになり、高級システムキッチンに人工大理石カウンターが組み込まれるようになると、日本ではステンレスカウンター=普及品という構図ができあがり、加工技術を売りにしていた松岡製作所は厳しい状況に陥ります。

 

そうした状況を打開すべく、松岡幹太郎社長は海外のインテリア事情を徹底的に研究し始めます。

 

2000年頃になると、元々キッチンカウンターとしての素材の良さは折り紙つきだったステンレスを高級キッチンに採用する動きがイタリアから生まれます。

                     

世界最大のインテリア展示会「ミラノサローネ」でも超高級システムキッチンにステンレスカウンターが採用されている事例を見た松岡社長は、東京で開催された展示会に自社の高級ステンレスカウンターを出品して一躍注目を浴びることになり、建築家やインテリアデザイナーからの引き合いはもとより、大手高級キッチンメーカー各社への納入も決まるなど、「ステンレスの精密板金加工なら松岡製作所」という評判が全国レベルで一気に広まることになります。

絶えざる革新が技術力をさらに高める

松岡幹太郎社長は「難しい特注要望をこなすのは当然だが、自ら新しいことにチャレンジしていかないと本当の技術力は身につかない」と言います。

 

実際、毎年のように新しい提案を世に問うているのが松岡製作所。

ここ最近でも、シンク内に水切り棚やバスケットを置ける「ステップシンク」や精緻な溶接技術が要求される「シンク内洗剤ボックス」・水回りだからこその「ステンレスキャビネット」などの新製品を次々と発表しています。

 

「新しいアイデアを『何とかして実現させよう』とするからこそ、個々人の技術力が上がり、ひいては会社全体の技術力も上がるのです」・・・これが松岡社長の信念です。

会社そのものを「匠」にする

松岡製作所には、一般的に工場には不可欠とされる「パートさん」がいません。

 

「原則としてスタッフは全員社員にする」というのが会社の方針で、時短でしか働けない場合でも、給与を労働時間に合わせて調整する以外は、社員としての待遇を完全に保証しています。

 

「うちは技術力でもっている会社だし、日々それを高めていかねばなりません。技術力というのは結局『人』ですから、どうすれば皆が技術力を高め続けてくれるかと考えたら、全員が安心して働いてもらえる社員にすることに行き着いたのです(松岡氏)」

 

離職者がほとんどおらず、若い人達の入社希望も多いのが特徴で、その上で知識や経験のある社員は63歳の定年後も働き続けることができるので、技術や知見が脈々と受け継がれていく仕組みができているのも強みでしょう。

 

個々の力を会社全体の技術力へと昇華させることで会社そのものを「匠」にしようとする絶えざる努力の積み重ね・・・それが松岡製作所を支えているのです。

 

株式会社 松岡製作所
http://www.matsuoka-pro.com/

 

 

「松岡製作所にできないものは、日本中どこに頼んでも無理」と言わしめる技術力は、鍛えられた職人技から生まれる

取材後記

工場内を案内して頂くと、働いている職人さんたちから気持ちのよい挨拶が次々と飛んできます。

「こういう人たちが作る製品ならば安心だ」・・・心からそう思えるような素晴らしい方々でした。 (取材:上野)

 

 

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