屋上造園家池上 靖幸さん

VRテクノプラザ(写真上)
建築設計:リチャード・ロジャース・パートナーシップ・ジャパン
ランドスケープデザイン:株式会社エキープ・エスパス
植栽基盤施工:株式会社イケガミ

屋上を健全な緑で満たす技術

都市の景観を高めると共に植物の持つ冷却効果などにも注目して、ビルや住宅の屋上を緑化したいという方が増えています。

この分野における日本のパイオニアとして、数々の有名建築や住宅の屋上緑化を実現させてきたのが「イケガミ」社長の池上靖幸さんです。

 

1964年、現会長の池上信夫氏が、建築家・村野藤吾氏のアドバイスによって計画された百貨店の屋上庭園を手がけたことが、イケガミが屋上緑化と取り組むきっかけとなりました。

 

それ以来、屋上緑化を中心に造園工事などを幅広く手がけてきましたが、自ら開発したアクアソイルという画期的な植栽基盤をベースに、長年にわたって蓄積された経験と卓越した技術で、屋上に植物を植える仕事を続けています。

雨水を活かす土壌「アクアソイル」

屋上緑化は、重量や通気排水など難しい課題が多いのですが、それを丁寧に解決していくのが屋上緑化を成功させる秘訣です。 開発者である現会長は「土壌と通気排水が最も重要」との信念から、研究に研究を重ねて「アクアソイル」という独自の人工土壌を完成させました。引き継いだ池上靖幸さんも、アクアソイルをベースに草屋根工法やKomayoseといった曲面植栽を開発し、アクアソイルを進化させ続けています。

 

アクアソイルの最大の特長は「45日程度なら降雨がなくても、自動散水システムなしで植物の生育環境が保たれる」点にあります。

日本において、45日間全く雨が降らない地域はほとんどありませんから「実質的に無散水」ということになります。

 

屋上緑化の多くは自動灌水装置を取り付けて「人手がかからないから安い」と謳っているのですが、実際には水道料金に加えて機械設置費用やメインテナンス費用もかかります。 

大型ビルの屋上だと屋上緑化のみで、想像以上のコストが発生することもあります。

 

自動散水システムを使用せず、自然の雨水を活かすことのできるアクアソイルは、建築物のライフサイクルコストを重要視する建築家やクライアントに注目されています。水道水をポンプなどで加圧し、散水するということが環境面で問題視される場合もあります。この点を開発時より重要視して、地道な努力を重ねたことが、「植物の生育環境を守りながら経済性に優れている」として評価され、日本で最も長い実績を持つ屋上緑化として、現在も進化を続けています。

NOとは言わない

池上さんは「先代から数えれば、50年以上屋上緑化に携わってきましたので、想定されるあらゆる事態への対処方法を蓄積してきたと自負しています。 それでも年々変化する気象条件や、生き物相手の仕事でもあり、まだまだ勉強不足です」と述べておられます。

                                       

特に自動散水なしの屋上緑化については、植物選びやメンテナンスも含めた総合的な技術提供をより充実させることや、施工精度をさらに向上させることで、より広い範囲での活用を目指します。

 

人工地盤の上に植物を植え、自然回復のきっかけとする・・・という独自分野のパイオニアとして「若い社員と共に、もっともっと研究して屋上緑化を極めていきたい」・・・池上靖幸さんのチャレンジはまだまだ続きます。

「そのために大事にしていることは、難しい課題を突き付けられても『NO』とは言わないこと。今までの経験の延長線上や、まったく違った分野の技術を応用してみる。より効率的に納める工法や段取りを考えてみる。これは創業者である会長からの大切な教えであり、次世代に引き継ぎたい一番大切なこと、そのように考えています。」 

謙虚な姿勢とチャレンジ精神が一体となった、池上さんらしい言葉が印象的でした。

 

株式会社イケガミ

http://www.aqasoil.co.jp

池上 靖幸さん

アクロス福岡(写真下)
建築設計:株式会社日本設計
ランドスケープデザイン:株式会社プランタゴ
植栽基盤施工:株式会社イケガミ

取材後記

屋上造園を普及させるためにオリジナル技術を開発したイケガミは、多くの建築家から引っ張りだこ。

独自技術を持つことは本当に強い、改めてそう思います。 (取材:上野)

 

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