上原の家

作品紹介

敷地は、農地に囲まれた緩やかな斜面地であり、北から東まで山並みを一望できる好立地である。しかし、将来敷地の北側に大規模な幹線道路が予定されていることから、現在の農地と将来の住宅地という、ふたつの異なる敷地環境を想定して計画する必要があった。のどかな風景として数十年続いていた場所に、ひとつの建物が加わると、それをきっかけに場所の印象は大きく変わる。

 

まず、最低限必要な柱梁に大らかな屋根を架けた。1階は、軒下や内庭、縁側、寝室が、等間隔な柱割の中で内外を介して段階的に繋がる。地続きの半外部空間は、周辺の風景へと視線が抜け、山からの季節風の通り道となる。主な生活空間は、将来周囲が住宅地となった際にも変わらず景観が望めるように2階に配置。外部のアプローチから浮いたヴォリュームの中に潜り込むように階段を上ると、大らかな気積をもった生活空間が、その先の眺望に繋がる。

 

将来この場所は住宅地となる。その時、大らかに架けられた屋根の下の半外部空間は公私を越えて街の余白として広がっていき、近隣の住宅には、その先の風景や風が届くだろう。住宅地の余白が繋がり、風通しのよい、透過性のある街並みが展開すると、いまある農地とは別の魅力的な住環境が生まれる。この住宅がモデルとなり新たな街並みを作ることが出来たら、暮らしはおのずと外部に溢れ、それが街の風景となる。透過性のある住宅計画が新たな住宅地に向けた提案につながることを願う。

作品集

物件

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必要最小寸法の検証と快適性の実証   この住宅は佐々...
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■ 羽根北の家

格子天井と半壁による個と共有スペースの共存   のど...
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■ 法連町の家

外縁側と内縁側光と風を纏う光溜   高齢者(施主60...
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■ 城山の工房

敷地はいくつかの候補地を見たうえで、施主と共にこの場所を...
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■ 葵の家

住宅が立ち並ぶ地域において公共施設の駐車場や広場が近接す...
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■ 宇陀の家

光とスケールでつなぐ古民家改修の作法   江戸時代後...
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■ 上原の家

敷地は、農地に囲まれた緩やかな斜面地であり、北から東まで...
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■ 梅森坂の家

住宅地に建てられた住宅である。敷地内には1.5m程の高低差が...
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■ OHS

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■ 山之手の家

立地|敷地南側には6階建ての集合住宅が建っており、始めて...
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■ 栄町の光溜

内外、二世帯をつなぐ光庭   建替えによる二世帯住宅...
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■ 志賀の光路

街路を拡張する庭と光を取り込む高窓   住宅地の風景...
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■ imai

敷地からうまれた水平・垂直方向への広がり。​   間口...
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■ UNOU

自然が通過する、縦と横の開口。内部をつなぐ境界。   ...
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■ OSHIKAMO

敷地は住宅地にあり、母屋に隣接している。家族が集まる場所...
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■ AMA

小さな家| 敷地は田園に囲まれており、そののどかな空気と...
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■ OGAKI^HOUSE

季節風と周辺環境暮らしと自然の距離   敷地は住宅地...