プロの住宅レシピ 隣地の視線をカットする段差窓

狩野一貴建築設計事務所
狩野一貴
全開口窓

窓とベランダ床をダイニングの床から30㎝の高さにすることで、隣地の視線をかわして空のみが見える

タイル床

ダイニング側からはベンチや小上がりのように窓辺に腰掛けられる

天井板材

全開口の窓を開けるとダイニングがテラスのような半屋外空間の趣になる

ダイニングとベランダの間の障子を閉めた状態

窓とベランダの高さを調整することで、隣地の視線をカットするという工夫です。
『荻布の家』のダイニングの窓はタイル床より30cm上がったところに設けられています。周囲の視線を遮り、外からの視線を避けながら空だけが見えるように設計しました。またベランダ床も窓と高さを揃えているので、視覚的にも空間がつながってベランダは室内の延長、ダイニングは室外の延長といったような半屋外の雰囲気を楽しむことができます。
窓はベランダの空間に直接つながるので、全開口でフレーム部分がすべて引き込めて視界に入らないものを選択しました。障子も引き込めて、全ての建具が隠れるようにしています。ダイニング側からはベランダが小上がりのようになるので、ベンチ代わりに腰掛けることなどもでき、家具としての役割も果たしてくれます。
このように、隣家との距離が十分に確保できない立地であっても、視線を操作する工夫で解放感とプライバシーを両立することは可能です。

PHOTO: 狩野一貴建築設計事務所(1枚目)
PHOTO: dot DUCK株式会社 内山昭一(2~4枚目)

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採用されている製品

狩野一貴建築設計事務所
狩野一貴
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:オープンウィンスライディング

ベランダに直接つながっている窓なので、開けるときにフレームが引き込めて内側から見えなくなる全開口タイプのものを選択しました。最初は木製サッシも検討したのですが、重量、コストの問題、吊り上げで入れるのも難しい環境といった条件からこの2枚引きタイプのオープンウィンスライディングを選択しました。サイズの指定もでき、求める条件に合わせて選択しやすい製品です。
採用製品
タイル|Danto Tile (ダントータイル)
株式会社Danto Tile|ダントータイル
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■採用製品:CTO-6/600X300W コット[CTO]

色味が黒・グレー系のタイルで床暖房対応のものを探しました。 サンプルを比較して、色・質感共にイメージに合ったコットを選定しました。 長方形のタイルを採用し、たがいちがいの『馬目地』としています。 裸足の歩行感がよく、床暖房でも足裏に優しい暖かさです。 タイルはフローリングより蓄熱効果も高く、熱伝導率も高いので部屋全体を長時間にわたり暖かく保てます。 また、床暖房を使用しない時期でも、タイルが適度に冷えて夏場も快適です。 デザイン性だけでなく使用感も非常に快適で、大変満足しています。
採用製品
木材|ウッドリンク株式会社
ウッドリンク株式会社
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■採用製品:上小無地羽目板(羽目板内部用)

『荻布の家』の天井の杉板に使用しました。 柾目(まさめ/直線的な木目)ではなく板目(いため/山が重なったような曲線の木目)を使用することで、味わいのある和の表情が強調されます。天井は面積が広いので飽きの来ない物を選びました。 同じ富山県内の企業で、豊富な施工事例を拝見し、製品が効果的に建築に使われていました。
採用製品
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狩野一貴

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