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川本達也建築設計事務所

住所: 愛知県名古屋市守山区下志段味5-2907

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作品集

物件

■ 今伊勢の家

「高い耐震性」と「開放的な空間」の両方を求められた場合
通常、2階の方が1階よりも構造上必要な壁量が少なくなるため本来であれば2階にLDKをもっていく方が理にかなっている。
ここでは、前面道路が個人の所有物である私道(生活道路)という周辺環境を取り込み、内外がシームレスに連続する空間を計画することで与えられた条件の中で最大限の空間的ボリュームの獲得を目指す。幅8mの「門型フレーム」が並ぶだけの単純明快な構成とすることでバランスの良い耐震性能と大きな開口部を両立させた。



計画地は古くから繊維工場が多く栄えた工業地域に属し、近年の開発により宅地化され住宅が多く建ち並び、地域産業と住宅が共存して居住環境がつくられている。
敷地の前面道路はその宅地化するにあたってつくられた私道であり、この道に接する数件の家で共有する行き止まりの「生活道路」である。
この辺一帯は主要な道路から枝分かれのように伸びるこの「生活道路」が張り巡らされ、それぞれ固有のコミュニティが形成されていた。この道路ごとに異なる独自の場所性をそのまま住空間に取り込むことで、地域産業の副産物的にできたコミュニティを住宅地としての新たな風土として地域づくりに寄与することができないかと考えた。
「門型フレーム」は耐震要素としての役割の他、一定の間隔で並ぶことで空間にリズムを与え街との距離感を測る物差しとしての役割を担い、各フレームにレールを仕込むことでフレームごとに生活に応じて簡単にプライベート化することを可能にした。
限られた敷地内をできるだけ有効に活用するために軒先を前面道路際まで伸ばし外部空間まで連続してつくることで、大屋根の下で住み手の生活が徐々に地域に滲み出ていくことを期待している。敷地が「工業地域」に属しており高さに対する制限が住居系の地域と比べると緩いため近隣には高さのある建物もあり、偶然にも程よく包まれた周囲の環境のおかげで道路を含んた隣地までを生活空間として取り込むことができた。



門型フレームは最大梁成150mmの小断面の流通材だけで構成することでコストを抑えながら6mを超えるスパンを形成しており、フレーム化された大きな開口部を持つ耐力壁で地震力に抵抗している。
平面計画に合わせて並べた門型フレームに大屋根を載せることで全体を構成し、この大屋根を定められた建蔽率の中で実現するためには面積を調整する屋根開口と片持ちで跳ね出す軒先を両立させることが必須であり、スチール製のフラットバーを木梁に差し込んだ合成梁を2本掛けそれらを介して軒先で各梁を吊り上げることで2.7mの跳ね出しと屋根開口の両立が可能となった。
住み手の求める要望と土地の成り立ちや規制、それを解決するための構造形式、これらをスクラムすることによってできたこの土地に根付いた建ち方である。

 

PHOTO:植村崇史

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