森孝行建築設計事務所
住所: 東京都品川区旗の台6-14-3
TEL : 03-6876-0294
E-mail
:mail@moriarch.com
URL : http://www.moriarch.com
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■ House in Komone | 小茂根の家
1990年にハウスメーカーによって建てられた2世帯住宅の1階部分の改修です。建築時は1階に祖母、2階に親世帯が住む2世帯住宅でしたが、介護施設に移った祖母と入れ代わるかたちで、2階で育った息子さんが結婚後に戻って夫婦で住み始めていました。1人暮らしであった祖母に合わせた以前の間取りは南面に大きく開口部を取った広い居間と和室があり、明るく日当たりは良いが壁面が少なく家具の配置にも困る状態で、広々としているがどこか落ち着かない印象でした。逆にキッチンは壁に囲まれて独立した位置にあり薄暗く、食堂は動線上にあって広さも不十分でした。これらを改善しファミリー向けの間取りで性能向上した快適な住まいとしたいという希望で計画が始まりましました。
そこで水回りなど生活の基本構成は既存住宅の配置を踏襲しながら、光の入り方や壁のバランスと動線を改善することで空間の質を整えることを試みています。南面に大きく取られていた開口部は開口面積を抑えて同じ大きさで均等に配置して外観を整え、床から少し上げることで窓辺にたまりをつくるような開口部としました。その内側には織り込まれた和紙張りの障子網戸と板戸がそれぞれ戸袋に引き込まれるかたちで設けてあり、光の抑制とプライバシー保護の機能をもたせています。もとの和室は床を下げてタイル貼りとした食堂に変更し、キッチンと食堂が一体的に使えるように間の壁を大きく開口しました。広々とした居間は多目的室 (子供室)で間仕切ることで程よく囲まれた居場所となるように変更し、もとの食堂についても中間に変更して家の中心にあってつなぎの間の役割をもたせています。
計画にあたり詳細調査を行い既存建物の性能や状態を定量的に把握することで予算と検討しながら、耐震性能や温熱性能の不足をどこまで向上させるかというところまで検討しています。また性能面だけでなく、既存建物と注意深く素直に向き合い、小さな変更の集積によって陰影や静寂さを宿した心安らげる住まいとなりました。1世代分のサイクルを向かえた祖母の住まいを世代を超えて受け継ぐことができました。