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松本設計

建築家は自ら設計した家を作品と呼ぶが、私はそれを作品とは呼ばない。

そこには建て主の暮らしがあり、住まいは暮らしを営む器だから。
他者の評価のためではなく、建て主にとって居心地の良い家を設計したい。


住所: 佐賀県鳥栖市曽根崎町1146-11

TEL : 0942-85-9280
E-mail :matsumotosekkei.info@gmail.com
URL : https://matsumotosekkei.com/

作品集

物件

■ 浦志の家

敷地は糸島市中心部に位置し、ドラッグストアに近接することから周辺は交通量も比較的多く、人と車の往来が途切れることはない。当該敷地は、交通量の多い東側道路と周辺住民が主として利用する南側道路に面した南東の角地である。周辺宅地は既存住宅の建て替えや売却され、新規宅地分譲等により次々と新しい街並みが形成されている。住まい手はこの地に生を受け、長い時間をこの地で過ごしてきた。そして、これからもこの地に根を張り、暮らしていくにあたり、全てを書き換え、上書き保存するような住まいではなく、今あるものを活かし、その記憶を継承していく、そんな住まいの在り方が望ましいと思い、長くこの地に根付いている杏とマキの生垣を残すことを提案し、建て主も快く了承してくれた。


既存樹木を中心とした植栽帯により、外部からの目線を遮りながら、緩やかに街と繋がり、内部からは豊かな緑を感じることが出来る。2方向の道路に対して建築のボリュームを抑え、低く長い軒により慎ましやかな佇まいにするとともに、全体高さを抑えることで北側隣地に建つ両親の住まいに配慮し、また相互に行き来が出来る配置計画とした。

生涯におけるライフサイクルの中で子供が個室を使用する期間は非常に短い期間であること、また隣に両親の住まいがあり、居室も余っていることから、計画当初より個室としての子供室は設けなかった。内部は大きなワンルーム空間であるものの、南側に広く設置したベンチや地窓から庭を眺められる小さな和室、開放的な勾配天井で繋がったロフト等、心地良い居場所を随所に配した。南側の大開口は内外の境界を曖昧にし、豊かな緑を持った外部空間を内部に取り込むことが出来る。

外壁や軒天、内部天井、床などは九州産の木材とすることで、地産地消による地域活性化にも寄与出来、玄関ドアや一部サッシも木製とすることで、経年変化を楽しむことが出来るものとした。また、耐震等級3相当の構造とHEAT20G2グレードを超える断熱性能など、建物としてのスペックも妥協していない。小さいながらも内外一体となった居心地の良い居場所が点在する住まいとなった。

 

・第33回 福岡県美しいまちづくり建築賞 住宅の部 大賞受賞

・第8回福岡県木造・木質化建築賞 奨励賞

・2022 グッドデザイン賞

 

PHOTO: YASHIRO PHOTO OFFICE

■ 本井手の家

敷地は熊本県荒尾市の郊外に位置し、北側には福岡との県境に...

■ 北山の家

建て主は病気になった祖父を看病するため、福岡から祖父の家...

■ 門松の家

福岡の中心部から少し離れたベッドタウンである粕屋町、門松...

■ 上井手の家

荒尾市内の県道沿い。北側には田園風景を介し、遠くの山々を...

プロの住宅レシピ

プロの住宅レシピ

■ 雨にも濡れない 二世帯をつなぐ大きな軒

『浦志の家』は隣に両親の住む家があります。両親の家は家業を継がれているご主人の仕事場でもありました。食事時などに家に戻ることなどを考えて、不便ではない動線が望ましい環境です。また、施主のご家族には雨の日でも濡れずに車から降りたいというご要望がありました。その二つの条件を考えて、設計したのがこの大きな軒です。
隣の親世帯には雨に濡れず移動できますが、閉じた通路でつなぐのとは違い繋がりすぎず、それぞれが独立した程よい距離感を保っています。車から濡れずに降りたいというご要望もビルトインガレージにするとかなりコストもかかってしまうので、駐車場を玄関前にして、軒側から車を降りる形にすることで解決しました。
大きな軒と植栽が外部の視線からも家を優しく守ってくれる居心地の良い家になりました。

PHOTO: YASHIRO PHOTO OFFICE

■ 金属感のない柔らかなレンジフード

『本井手の家』のキッチンは、造作なのですが、レンジフード...

■ 多目的に使える 7m越えの木製ベンチ

『浦志の家』では南側の窓辺に多目的に使える木製ベンチを設...