作品集
プロの住宅レシピ
■ 「つながる暮らし」を設計した住まい
子育て世帯の新築住宅。お施主様の希望は、「家のどこにいても家族の存在を感じられる住まい」でした。
そこで、空間を個室で区切るのではなく、家全体をひとつの大きなワンルームのように設計。特に子ども部屋はあえて設けず、家族が自然と顔を合わせ、会話が生まれる住まいを目指しました。
暮らしの中心には、特注で製作した大きな造作ダイニングテーブルを配置。食事の時だけでなく、勉強や読書、趣味の時間、家族の語らいの場としても使えるようにし、自然と家族が集まる居場所となっています。
背面には大容量の収納棚を設け、一部は引き戸付きの“隠す収納”とし、勉強や作業道具をすっきりしまえるように工夫。もう一方には、ご夫婦が集めた雑貨を飾る“見せる収納”として趣味の世界も楽しめるスペースとなっています。
1階と2階は、家の中心に設けた大きな吹き抜けでつながり、子どもたちが自由に回遊できる動線を確保。間仕切りの壁はほとんど設けず、必要なゾーニングは家具や低い壁でゆるやかに行うことで、どこにいても家族の気配を感じられる空間を実現しています。
内装には、床に無垢材、壁にも板張りや塗り壁を採用。自然素材を用いることで調湿効果にも優れ、梅雨の時期でも湿気がこもりにくく、冬場は素足でも暖かいなど、一年を通して快適な住環境が整います。子どもたちが床に寝転んで遊ぶ姿も、この住まいならではの微笑ましい日常の一コマです。
「家族がつながる仕組み」を住まいの中心に据えることで、暮らしの中で自然とやさしい関係性が育まれる住まいとなりました。