プロの住宅レシピ
■ 北側の柔らかな光と暮らす、三層構成の都市住宅
建築家自身が暮らすために設計したこの自邸は、自分のライフスタイルに最適化された3層構成の住まいです。玉川上水に面した角地という立地を活かしつつ、人通りが多い環境でも落ち着いて暮らせるよう、外部からの視線を上手に遮りながら、安定した光を取り込む計画としました。
1階はギャラリー兼ショップ、2階は仕事場、3階はLDKという明快な構成で、生活と創作の領域を穏やかに切り分けています。独立前に公共建築やRC造を多く手がけてきた経験から、自邸も鉄筋コンクリート造を採用。防音性や耐久性に優れ、都市部でも静かで集中できる環境をかなえています。
二度目の自邸づくりとなった今回は、以前の住まいで感じた「南東の光の強さ」を踏まえ、北側の安定した光を基調に設計。トップライトや高窓から落ちる柔らかな光が室内を包み、時間の移ろいを優しく伝えてくれます。必要な場所だけを最小限に囲い、視線の抜けと奥行きを確保することで、コンパクトながら豊かな広がりのある空間が生まれました。
都市の喧騒から一歩離れ、光・静けさ・素材の豊かさに包まれるこの住まいは、建築家自身の経験と美意識が凝縮した“暮らしと仕事が共存する器”となっています。
