House in Komone | 小茂根の家

  • 居間より食堂を見る。 食堂の床を1段下げてタイル貼りとして、空間のバリエーションをつくっています。 床の間だった下屋部分に造作工事で本棚を設けたので図書室のような食堂になりました。

  • 居間と食堂を見る。 窓まわりは木枠を見せない納まりとして、網戸の機能を持たせた障子と板戸を壁に引込み出来るように入れています。

  • 寝室を見る。 寝室として落ち着きのある内装としています。 天井や建具にはラワン合板を使用。また天井高さは2190㎜と低めに設定しています。

  • 食堂より居間を見る。 居間と食堂の間は壁で分けながら、開口を大きく取って居間と食堂のつながりをもたせています。

  • 食堂よりキッチンを見る。 元の和室は食堂に変更しました。独立した位置にあり閉鎖的なキッチンから、壁に開口を設けることで食堂とつながり、明るく開放的なキッチンになりました

  • 洗面所を見る。 水回りの位置はそのままに設備と内装を刷新しました。天井材はヒノキの羽目板張り、浴室の床と壁にはモザイクタイルを使用しています。

  • 居間より中間を見る。 もとの食堂は中間に変更しました。 中間は家の中心にあって、つなぎの間としての役割をしています。天井高を2100㎜と抑えて、小さな空間から各室が広がるように意図しています。 上部の下り天井には壁掛エアコンを設置して木製ルーバーでカバーしています。

作品紹介

1990年にハウスメーカーによって建てられた2世帯住宅の1階部分の改修です。建築時は1階に祖母、2階に親世帯が住む2世帯住宅でしたが、介護施設に移った祖母と入れ代わるかたちで、2階で育った息子さんが結婚後に戻って夫婦で住み始めていました。1人暮らしであった祖母に合わせた以前の間取りは南面に大きく開口部を取った広い居間と和室があり、明るく日当たりは良いが壁面が少なく家具の配置にも困る状態で、広々としているがどこか落ち着かない印象でした。逆にキッチンは壁に囲まれて独立した位置にあり薄暗く、食堂は動線上にあって広さも不十分でした。これらを改善しファミリー向けの間取りで性能向上した快適な住まいとしたいという希望で計画が始まりましました。

そこで水回りなど生活の基本構成は既存住宅の配置を踏襲しながら、光の入り方や壁のバランスと動線を改善することで空間の質を整えることを試みています。南面に大きく取られていた開口部は開口面積を抑えて同じ大きさで均等に配置して外観を整え、床から少し上げることで窓辺にたまりをつくるような開口部としました。その内側には織り込まれた和紙張りの障子網戸と板戸がそれぞれ戸袋に引き込まれるかたちで設けてあり、光の抑制とプライバシー保護の機能をもたせています。もとの和室は床を下げてタイル貼りとした食堂に変更し、キッチンと食堂が一体的に使えるように間の壁を大きく開口しました。広々とした居間は多目的室 (子供室)で間仕切ることで程よく囲まれた居場所となるように変更し、もとの食堂についても中間に変更して家の中心にあってつなぎの間の役割をもたせています。

計画にあたり詳細調査を行い既存建物の性能や状態を定量的に把握することで予算と検討しながら、耐震性能や温熱性能の不足をどこまで向上させるかというところまで検討しています。また性能面だけでなく、既存建物と注意深く素直に向き合い、小さな変更の集積によって陰影や静寂さを宿した心安らげる住まいとなりました。1世代分のサイクルを向かえた祖母の住まいを世代を超えて受け継ぐことができました。

建築前の土地

リノベーション前の和室の様子。

作品データ

所在地: 東京都 板橋区

延床面積: 240㎡

施工会社: 草野工務店

作品集

物件

■ House in Komone | 小茂根の家

1990年にハウスメーカーによって建てられた2世帯住宅の1階部...