所在地: 東京都
作品紹介
変化する生活と、優柔不断の肯定
本計画は、文京区・千駄木にある区分マンションの改修である。私と妻との二人暮らしのための自邸である。千駄木というまちに惹かれ、ここで暮らしたいという気持ちが強まる中、限られた予算で手に入れられたのは、専有面積53平米という小さな住まいだった。
設計を始めた当初、私たちの平日は帰宅が遅く、家で過ごす時間も限られていた。たとえば「寝る場所」と割り切れば、寝室を贅沢につくってリビングをなくすという選択肢もある。その時の生活に合わせて最適化する、という考え方だ。
しかし、当時すでに退職と独立を控え、暮らしが大きく変わることは明らかだった。将来的には出産の可能性もある。53平米という限られた広さの中で、すべてを叶えることはできない。将来を見据えて明確に「決める」ことが難しい状況だったが、だからこそ今回は、その優柔不断さをポジティブに受け入れ、変化に開かれた住まいを目指すことにした。
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Phoho : 中村晃、石川司