プロの住宅レシピ 狭さを楽しみ活かしきる!37㎡のリノベーション

瀧内 未来
37㎡のコンパクトなマンション住戸。
「狭さ」という制約を、アイデアと工夫で、暮らしが楽しくなる住まいへとリノベーションしました。
今回のリノベションの軸となったのは、「視線の抜け」「多用途性」「立体的な構成」という3つの視点です。
玄関を入ると、そのままバルコニーの先まで視線が抜けるようにデザイン。キッチンカウンターは凹凸のないIHコンロにし、吊り戸棚も設けないなど、遮るものをなくし、目に入る範囲を広げることで、実際の面積以上の広がりを感じられます。
間取りも、ひとつの場所を複数の目的で使えるように工夫しました。
たとえば、廊下は通路でありながら、子どもがキッチンの向かいに立ってお手伝いできるスペースや洗面所を兼ねています。和室だった部屋はベッドが収納できる小上がりに変更することで、昼はリビングに、夜は寝室として使えます。座卓と同じ高さで製作しているので、大人数で囲むダイニングとして使えたり、窓にスクリーンを張ってベッドを引き出し映画館のように過ごせたりと、楽しみ方は様々です。
小上がりの奥はウォークインクローゼットになっており、小上がりで洗濯物を畳みそのまま収納ができます。さらに奥には浴室があるので着替えの動線もスムーズ。「めんどうを感じさせない動線設計」は、この住まいの魅力でもあります。
空間の高さを活かし、ウォークインクローゼットの上部にはロフトを設けることで、子ども部屋や寝室として活用でき、ライフスタイルの変化にも対応します。
「狭いから」とあきらめず、空間を立体的に活かしきり、工夫を楽しむ。そんな思いとアイデアがたくさん詰まった住まいです。