プロの住宅レシピ 斜材が包む、強くてやさしい住まい

佐河 雄介
「なにより強い家をつくってほしい」。
震災を経験した地域ということもあり、お施主様の希望に応えるべく、構造的強度を求めて斜めの筋交い(斜材)をデザインに取り入れた住まいです。
斜材を外周部すべてに施すことで、壁と同等の耐力を持たせ、窓がひとつもない家と同レベルの強度を確保しながら、光と風が抜けるオープンな住まいを実現しました。
この住まいでもうひとつ大切にしたことは、自然との共生です。
庭には多くの緑が生い茂り、リビングと庭のあいだには、中間層となる斜材に囲まれた半野外のような空間が広がります。生きものが大好きなお子さんの、虫や小動物を観察・研究する場にもなっています。
リビングからは、開口越しに緑豊かな庭を眺めることができ、まるで自然と一体になったかのような心地よさが広がります。5メートルの特注カーテンは一枚で開閉できるよう設計されており、内と外のつながりをダイナミックに楽しめる空間となっています。
構造的な強さを追求しながらも、外とつながるオープンな設計とすることで、お子さんの興味や好奇心を育む豊かな暮らしを実現しました。
構造と安心、暮らしと遊び心。これらが調和し、強さとやさしさを兼ね備えた住まいとなりました。
Photo : Yosuke Harada