プロの住宅レシピ 閉ざさず、立体的に!寒冷地の快適なLDKづくり

阿部 征巳
寒さが厳しく、日照時間も短い地域での家づくり。
できる限り明るくしながら温かい住まいになるよう、小さなアイデアを随所に施しました。
玄関すぐから2階につながる階段はキッチンの背面に設け、キッチン上部に設けた欄間から視線が抜けるようにすることで、家族の気配を感じられるようにしました。階段室も閉鎖的にならず、リビングから声を掛けることもできます。
さらに、階段の奥に貼られた杉板が少し見えるようなデザインで、木材のあたたかみが加わります。空間に温かみをもたらす木材も、「多すぎると圧迫感を感じる」との考えから、面積にして50%程度に抑えるよう調整しました。タイルなどの素材を組み合わせることで、より明るく軽やかな雰囲気が生まれています。
また、空間の素材の切り替えも、腰壁のような横(水平)の区切りではなく、縦(垂直)方向に変化をつけることで、奥行きと立体感をもたせています。
寒冷地という地域の特性を踏まえ、高断熱仕様で、エアコンの数も最小限に抑えています。南面には大きな窓と天窓を設け、できるだけ多くの光を取り込むことで、快適な暮らしを追求しました。
土地や気候との付き合い方を丁寧に考えた空間設計で、心地よく暮らすためのアイデアが詰まった住まいとなりました。