プロの住宅レシピ 眺望を愉しむ、贅沢な日常。自然と過ごす高台のRC住宅

藤原 慎太郎・室 喜夫
大阪・北摂に街路樹の並ぶ広い通りに面して佇む、RC造の事務所兼住宅。
敷地周辺の建て替わりも想定しながら、周辺の目線を遮りながらも光を取り込み、広がりを感じさせる空間を計画。
お施主さんの希望で採用されたコンクリート構造は、どっしりとした安心感を保ちつつ、スリットや浮遊感のある構成で軽やかさを表現しています。
設計のキーワードは「眺望」。大開口を設けたLDKやバルコニーから、街路樹の景色が一面に広がり、室内に穏やかな時間が流れます。
印象的なのは、外観に設置された木の一枚板。両脇にわずかな隙間を設け、光の入り方を繊細に調整しています。コンクリートだけでは難しい断熱性能を補うため、外観の一部に木板を設置して断熱材を組み込むことで、デザイン性と機能性を両立させている点も工夫のひとつ。
木やコンクリートなど、マテリアルで分けられたボリュームをずらして配置することで、隙間から光や風を取り込む構成です。
室内では、木の天井に仕込まれた間接照明が梁の存在感をやわらげ、落ち着いた光が全体を包んでいます。
キッチンには業務用の焼肉グリルと大型冷蔵庫を備え、お酒好きの大人の“とっておきの愉しみ”が詰まった空間に。
お施主さんのお気に入りはバスルームで、空間の雰囲気を左右する壁材の選定にはこだわったのだそう。
落ち着いた色味や質感に包まれる中、天窓から差し込む自然光が清涼感を漂わせています。
以前より入浴の回数が増えたそうで、居心地の良さが伝わってきます。
風景を眺めながら食を楽しみ、光に包まれてくつろぐ。そんな心地よさを五感で味わえる住まいです。
photo: 平桂弥 (studioREM)