プロの住宅レシピ 趣味と猫と家族の時間を。ライフスタイルを充実させる増改築
定年後の趣味や家族との時間、そして3匹の猫たちとの心地よい暮らしを叶えるため、全面的に増改修した築30年ほどの住まい。
ご主人の愛車のためのインナーガレージと、3匹の猫たちとのびやかに過ごせる開放的なダイニングが、ご夫婦のご希望でした。
そこで、高低差のある敷地を活かし、もともとカーポートがあった低いレベルにインナーガレージを設け、その上にリビングを増築。1階のガレージからダイニングへ、さらに中2階のリビングを経て2階へとつながる、抜け感のあるスキップフロアの空間へと生まれ変わりました。
インナーガレージは、ご主人の趣味のための特別な空間です。そこからリビングへは、外を経由せずに直接アクセス可能。趣味空間と生活空間が、スキップフロアでつながります。
以前の住まいでは閉塞感があったことから、リビングへとつながる壁やダイニングの天井を取り払い、吹き抜けを設け、梁を現しにしました。その梁を囲むように設けた構造体がキャットウォークとなり、猫たちの居場所になっています。
壁には猫による傷にも配慮し、9mmの集成材であるシナ合板という堅い素材を採用。玄関からリビング・ダイニングにかけて同素材で統一し、床材には無垢の楢材を採用したことで、更に明るくやさしい印象を与えます。
さらに開口では、住宅密集地で大きな窓を設けることは難しかったものの、隣家の緑を借景として取り込むなど、視線が抜けるポイントや緑が見える場所を整理し、開口部を効果的に配置したことで、開放感のある空間となりました。
当初は新築への建て替えも検討されていましたが、打ち合わせを重ねる中で、住まいに対する愛着や思い出、費用対効果を踏まえ、増改修をご提案しました。「思い出も大切にしながら、今の暮らしに合った住まいができた」と喜んでいただいています。
慣れ親しんだ住まいから、次のライフステージにふさわしい暮らしを叶える住まいへと生まれ変わりました。
Photo : Yousuke Harigane