プロの住宅レシピ 暮らしに「疲れない木」を。 自分自身の性格に合わせた床材選び

アーキネットデザイン合同会社
市川均

【杉の床材】やわらかく温もりがあり、素足に心地よい。ナチュラル志向の人や店舗など人や家具の移動が多い空間にもピッタリ。傷も味になるので、より傷がつきやすいような杉をチョイス。荒々しく使えてコスパも◎。

米杉材

【米杉のウッドデッキ用をカウンターに使用】爪で少し引っかいただけでもうっすら跡がつくような肌より柔らかい木。触れると温かみがあり、木がささくれてきても全く刺さらず痛くないのでカウンターにピッタリ。

【外床は栗の木】ウッドデッキに杉は腐りやすい為、似た表情の栗材を使用。ワイルドに使用しても耐久性があり、傷がつくほどかっこいい。

【檜(ヒノキ)の床材】ほどほどに硬く、ほどほどに傷のつきにくい王道の床材。高齢の二人暮らしの終の棲家など、大人が綺麗に暮らしていくのに似合う美しい表情が得意。

【ウォルナット(くるみ)の床材】硬質で傷がつきにくく、深い色合いが長く保たれる。家具中心の生活や、クラシックで上質な空間を求める人に最適。床に傷がつくのは嫌!という人に◎。

「余談ですが、フローリングって木質以外もさすので、僕は縁甲板とか板張りって呼んでるんですけどね」
そう笑うのは、アーキネットデザインの建築家・市川均さん。無垢材に惹かれる人は多いが、彼はその“選び方”こそが暮らしを左右すると語る。

「木にも、人との性格的な相性があってね」

見た目や好みだけで選ぶと、自分にとって“疲れる木”になってしまうことがある。だから市川さんは、図面を引く前に約3か月かけてじっくりヒアリングを行い、住まい手の癖や感覚の傾向を丁寧に掘り下げていく。
たとえば、床に座ったり寝転んだりする暮らしを望む人が、堅い木を選んでしまうと、無意識に身体が緊張し、かえってくつろげないことがある。一方で、柔らかい木は傷がつきやすいため、それをストレスに感じる人や、これから子育てを計画している家庭なら、おもちゃが床に落ちることだってしょっちゅうある。そのたびに増えていく床の傷にがっかりするようなら、それはその人にとって「疲れる木」になってしまうかもしれない。「だったら、もっとワイルドに使えて、多少の傷も味になる木のほうが、その人の暮らしには合ってると思うんです」と言う。

椅子やテーブル中心の生活だったら、やっぱり広葉樹でナラやウォールナットのような堅木がいいと思うし、あまりカーペットや敷物を使わないで木の表情を存分に味わって丁寧に暮らすのが好きなら針葉樹の中でヒノキを選んでもいいし、どういう風に暮らしたいかで相性の良い木を選ぶのもすごく大切です。

「自分に合う木を知ることは、自分に合う暮らしを知ること」と市川さんは語る。素材を“あてがう”のではなく、その人らしさに“見立てて”選ぶこと。そこに建築の真価がある。
「木の個性と暮らしの性格を読み解くのは、僕の仕事。もう長年やってるから、本人以上に僕の方が先に、その人の根っこがよく見える時があるんですよ」と朗らかに笑います。

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採用されている製品

ウエスタンレッドシダー材|高広木材
高広木材 株式会社
アーキネットデザイン合同会社
市川均
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:高広木材 米杉のデッキ材 高広木材さんは米杉をたくさんの種類、数量在庫しているのでいつも使わせていただいています。種類とは、見た目では節の無いクリアー材と節のあるノッティ材があり、形状では2×4規格のランバー材、壁用のT&Gやベベルサイディング、ウッドデッキ用などがあります。
この物件では、ランバー材をカウンターやドア、ドア回りトリム、パーゴラに使用しました。またパネル製品の表面仕上げは、ザラザラのラフソー面とツルツルのスムース面になっているので、設計者が適材適所で両面を使い分けます。私はラフソー面が好きですが、特に外部で塗装する際はラフソー面がオススメです。
採用製品
アーキネットデザイン合同会社
市川均

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