プロの住宅レシピ 立て込んだ敷地環境でも快適に暮らす、採光の工夫

充総合計画一級建築士事務所
杉浦 充

猫が入れないよう工夫された半地下空間。階段の隙間から猫がのぞき込めるデザインになっている。

ご主人の趣味である囲碁のためのテーブルは、足を下ろせるよう床を掘り下げて作っている。

2階のLDK。周囲の住宅から見えない位置にも窓を設けている。

2階の中庭バルコニーのグレーチングの床から、2階の光を1階へと届ける。

ご夫婦と猫が暮らすための住まい。
自宅で仕事をされているご主人が落ち着いて集中できる書斎と、奥様の趣味部屋を半地下に設けました。地下を全面的に掘るとなると非常に大きなコストがかかりますが、半地下であれば工事費を抑え、必要な空間を確保することができます。

敷地はもともと三つに分割された区画のうち、最も細長い土地。南側は隣地の建物に塞がれており、採光が大きな課題でした。さらに西側や突き当たりの東側も三階建てが建ち並び、周囲の建物に囲まれた環境の中で、いかに光や風を取り込み心地よい住空間をつくるかが、計画の大きなテーマでした。

半地下の空間では、南側の建物と建物の隙間をぬうように窓を設け、光を取り入れながら視線の抜けをつくることで、明るさと開放感を確保しました。
生活の中心となるLDKは2階に配置。一般的には東側に設けることが多いダイニングですが、この住まいでは東側が建物に塞がれて光が入りにくいため、あえて西側に配置しました。さらに、中庭のバルコニーを介して東からの光を取り込む設計としています。これにより、朝食をとるダイニングに朝日が自然と差し込み、心地よい空間となっています。
また、光が入りにくい1階の玄関には明るさを確保する工夫を。玄関の真上にあたる2階の中庭バルコニーの床をグレーチングにすることで、2階の光を1階へと届け、玄関まわりを明るくしています。

敷地条件や素材を工夫して活かすことで、立て込んだ住宅地の狭小住宅でも、明るく心地よい暮らしを実現しました。

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杉浦 充

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