プロの住宅レシピ 天窓の柔らかい光に包まれて──音楽と学びを楽しむ家

アトリエスピノザ
井東 力
キッチン 天窓

吹き抜けから北側の天窓の光が降り注ぐリビング。隣家と視線を交わさずに自然光の心地よさを日常に取り込む設計。テレビを置かず演奏や学習を楽しめる豊かな空間。

壁際に伸びる長いカウンターは勉強や仕事の共有スペース。壁はプリントを貼ったり書き込んだりできる仕様になっており日常の工夫が広がる。

畳下収納や右側の楽器棚を組み込んだ小上がり空間。書斎も兼ねた楽器の練習場所として設計されている。

3Fのロフトはリモートワークを想定した空間。扉の開閉で2Fのリビングとの距離を調整できる設計。天窓の光が差し込み、こもりながらも開放感を得られる居場所。

広い庇に守られた南側バルコニーはラジアータパインの明るいデッキ材で仕上げ。室内と外を緩やかにつなぐ寛ぎの時間を育む空間。

東京の都市部に暮らすご夫婦と小学生2人と幼稚園生の1人のお子さんために建て替えられた住まい。お施主さんの希望は「子どもと一緒に過ごす時間を大切にしたい」「音楽を楽しめる家にしたい」というものでした。

親世帯の住宅が目の前にある敷地で、これまで暮らしていた賃貸住宅を解体して2階建て+ロフトの家づくりが始まりました。

家族がチェロやバイオリンを演奏できるよう、吹き抜けのある大らかなリビングを中心に構成。北側に設けた天窓からやわらかな光が降り注ぎ、昼間は電気をつけずとも空間全体が明るさに包まれます。

リビングにはテレビを置かず、演奏や勉強に専念できるカウンターを造作。壁にはプリントを貼ったり書き込みができる素材を採用し、子どもたちの成長に寄り添える場としました。

一方でそれぞれの居場所も大切にしています。ご主人の書斎を兼ねた畳コーナーは楽器収納棚や畳下収納を備え、療養や客間など多目的に対応。 奥様のためのロフト書斎はリモートワークに適したこもり空間で、引き戸を開ければ家族の気配も感じられる仕組みです。

他にも随所に工夫が散りばめられています。 南側には大きな窓を設けながらも、広いバルコニーと深い庇で夏の日射を和らげ、明るさと快適性を両立。

1Fの玄関土間には自転車が収まるように広く設計。突き当たりの坪庭の緑が奥行きを演出しており、浴室からも樹木を眺められる爽快な時間を楽しめます。

家庭菜園や庭のライトアップも想定し、子ども部屋は庭に面して腰掛けられる窓辺を計画。豊富な収納やファミリークローゼットも備え、生活の細部まで配慮が行き届いています。

音楽と家族の時間を暮らしの真ん中に据えたこの家は、日常に穏やかなリズムを育む柔らかな居場所となっています。

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採用されている製品

アトリエスピノザ
井東 力
ここが私の評価ポイント!
キッチンにはekrea Partsの「キッチンキット」を採用。
造作キッチンに近い自由度を持ちながら、コストを抑えられる点が特徴です。規格サイズの箱をベースとしつつ、中身は自在にカスタマイズ可能。水栓やコンロはもちろん、計画当初は導入が難しいと思われたボッシュ製の食洗機も組み込むことができ、施主のこだわりに応える仕様となりました。
既製品ながら、扉材やカウンターの選択肢によって印象を大きく変えられる点も魅力。この住まいではバックカウンターにナラ突板を張り、空間全体と調和。シンクはあえてシンプルなものを選び、見た目はすっきりと上品に。結果的に「造作に近い表現ができる既製品」としてコスト・デザイン・機能性のバランスが取れます。
「既製品の安心感」と「造作の自由度」の両方を併せ持つため、お施主さんの満足度の高さにつながる製品です。
採用製品
天窓/日本ベルックス
日本ベルックス株式会社
アトリエスピノザ
井東 力
ここが私の評価ポイント!
天窓には日本ベルックスの「FSフィックスタイプ」を採用。
ベルックスは世界的にも実績のあるメーカーで日本でも信頼性が高く、とりわけ雨漏りをさせないという点で評価を得ています。降雨量の多い日本では屋根まわりのリスクが大きく、安心して選べる製品です。
この住宅は隣家との距離が近く、壁面開口では視線が交差するため、天井に天窓を設けることで採光とプライバシーを両立。北側特有の安定した光がリビングやダイニングをやわらかく満たし、昼間でも照明が不要な明るさを実現しています。
さらに、太陽光パネルを利用した電源不要のリモコン開閉機能を備え、利便性も高い点が特徴です。この天窓の光は上階のロフトまで届き、窓が設けられない空間の閉塞感を和らげます。採光計画と居心地を支える要の設備といえます。
採用製品
アトリエスピノザ
井東 力

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