プロの住宅レシピ 木の温もりと陰影に包まれる住まい

田中成吾・山本麻紀
山小屋を思わせる愛らしい外観と、陰影ある内部空間が魅力の住まい。
リビングはあえてコンパクトにまとめ、ほどよい暗さが落ち着きを与えます。一方でダイニングは吹き抜けを設け、明るく開放的に仕上げています。裏の山の景色をほどよく取り込みながら、暮らしに陰と陽のコントラストをもたらしています。
キッチンはアールのカウンターが特徴で、コーヒー好きの施主が心地よく過ごせる場に。2階には小さなワークスペースを設け、日常に柔らかな余白を添えています。
素材選びにも細やかな工夫があります。洗面の天板にはリノリウムを採用し、クラシックな懐かしさを漂わせました。玄関ドアは新しく製作したものにエイジング加工を施し、外壁は墨を落とした焼杉で仕上げています。
新しさと古さが共存する意匠が、住み手のライフスタイルに寄り添います。さらに、周囲の自然との調和を大切にした設計は、四季折々の表情を住まいに映し込み、日々の暮らしに豊かな時間をもたらしています。