プロの住宅レシピ 「趣味」と「生活」が隣り合う、2つのリビングを持つ住まい
お施主様の趣味は車とバイク。「愛車を大切にしながら日常を楽しみたい」という希望から、リビングのような機能をもつガレージを計画しました。
「車やバイクを楽しむためのリビング」と「生活のためのLDK」という、2つのリビング空間をもつ住まいです。
2つのリビングの間に設けた斜めの壁のラインが空間を切り分け、まるで「向こう側に違う世界がある」ような印象をつくり出しています。
ガレージリビング側では、片側に設けた大開口から45度振った位置に壁を設けたことで、この斜めのラインが生まれました。その角度に合わせて屋根を片流れとし、勾配をつけて天井を高くすることで、力強いボリュームを感じる空間に。
内装には木毛セメント板を採用し、ラフでワイルドな雰囲気を強調しています。
また、洗い場には「フェイトインダストリーズ」のスロップシンクを採用。無骨なステンレスと荒い質感が空間に馴染み、クールな印象をつくり出しています。
一方、生活のためのリビングは、南側に隣家が迫る敷地条件を踏まえ、東側の道路に向かって大きな開口を設けました。軒先に向かって天井を低く抑えることで、自然に庭へと視線が抜け、東に見える山並みを大胆に取り込みました。
室内では素材の数を絞り、木材は同系色で塗装して統一感を出すことで、開口部の存在感を引き立てます。
LDKで目立ちやすいキッチンやレンジフードのカバーも木材で造作し、空間に溶け込むデザインに。
屋外には大きな軒の縁側を設け、コーヒーを飲んだり、ガレージ作業の合間に休憩したりと、内と外をゆるやかにつなぐ居場所としています。
斜めの壁が空間の対比を明確にし、それぞれの性格を際立たせた「好き」と「生活」が隣り合う、大人のための住まいとなりました。
PHOTO:tololo studio