プロの住宅レシピ 都市の狭小地で叶えた、コンパクトで伸びやかなChimney House

一級建築士事務所 zacco
及川 尚宜

間接照明を家型の屋根形状の天井に向けて照らすことで、実際以上の広がりを感じる(左)/リビング階に設けた洞窟を思わせるコアスペース。上部は飾り壁として活用できる。(右)

水回りの階のコアスペースには洗面所を。

最上階のコアスペースには書庫を。扉や窓の形にもこだわり雰囲気を引き立てた。

ディテールや質感にこだわって採用したハンドルやバー。

都心の住宅街に建つChimney House。

都市部の限られた敷地に建つ「Chimney House」。
名前の通り、住まいの中心に大きな煙突のようなコアスペースを設けたこの家は、そのコアを中心に家族の生活や空気の流れがぐるぐると巡ります。
約十坪ほどの限られた敷地でも「ゆったりと過ごせる家にしたい」というお施主様の希望を叶えるため、コンパクトながらも閉塞感のない、のびやかで一体感のある住まいを目指しました。

そこで採用したのがスキップフロアです。
段差をずらしながらフロアを上へと積み重ねることで、家全体をひとつの連続した空間として構成しています。
各階をつなぐ煙突のようなコアには、洗面所やパントリー、収納、書庫など、各階の用途に応じた機能を組み込みました。
リビング階のコアは、角を丸めた柔らかなデザインと、左官材によるざらりとした質感で仕上げています。そこに重厚な木枠の扉を組み合わせることで、洞窟のような雰囲気を作り出しました。

内装では、削ぎ落とすだけのミニマルさではなく、温もりを感じるデザインを大切にしています。真鍮のハンドルや鍛鉄作家による手仕事のバーなど、ぬくもりを感じるディテールのものを採用しました。
ローコストな住まいでありながらも、ディテールや質感にこだわることで、上質感とひとつながりの世界観を感じられる空間となっています。

コアスペースを中心に階をつなぎ、部屋と部屋を行き来できる設計により、限られた敷地の中で伸びやかな暮らしを叶えた住まいとなりました。

Photo : Kusamao Kawamura

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