プロの住宅レシピ 「暮らしの中心にキッチンを」 豊かな空間へ再構成した、鉄骨住宅のリノベーション
狭小地に建つ鉄骨三階建て住宅のリノベーション。
限られた面積だからこそ、「どこに何を置くか」の整理が、住まい全体の心地よさを左右します。ところが既存の住まいでは、LDKを想定していた二階が細かく仕切られ、暮らしの重心が見えにくい状態でした。
そこで、料理好きなご夫婦の想いを起点に、豊かなキッチンを暮らしの真ん中に据え、家族が自然と集まるLDKへと再構成しました。
当初ご希望にあったⅡ型のカウンターキッチンも検討しましたが、限られた面積のなかではどうしても窮屈さが生まれてしまいます。そこで、空間に添わせたL型のキッチンを提案。壁面を活かした配置で、空間の無駄をなくし、LDK全体がひとつの大空間として使えるデザインとしました。
「厨房メーカーのキッチンは使いやすい」というご主人の話がヒントとなり、厨房メーカーのステンレス製天板を作業台として採用したキッチンを造作。既製品を組み合わせてキッチンを造作することでコストが抑えられ、空間にもシンデレラフィットしています。
キッチン計画と同時に欠かせなかったのが、収納の考え方です。
特に子育て世帯にとって収納力は不可欠で、さらにパントリーも取り入れたいというご要望がありました。
そこで、利便性・機能性・見た目の美しさのバランスを検討し、杉の集成材で造作した収納棚をキッチンからリビングへと連続させ、一体的な壁面収納として計画。お子さんが生まれたばかりの時期は、細かく仕切るよりも大きくまとめられる収納のほうが便利な場合も多いため、市販のボックスが収まるサイズで造作することで、その時々の暮らしに合わせて柔軟に使い方を変えられるようにしています。
内装は、バイクやキャンプが趣味のご夫婦の好みを反映しています。
天井はすべて表しとし、カーキ色に塗装。造作棚には無骨な雰囲気が似合う杉の集成材を採用しました。床には節のない約30mmと厚みのある杉のフローリングを用いることで、造作棚に使った杉の節が際立ち、ワイルドな印象を引き立てながら、上質さも与えてくれます。
杉それぞれの特徴を生かすことで空間にメリハリをつくりながら、コストダウンにもつなげました。
Photo : amu photogragh 吉田 祥平