プロの住宅レシピ カラマツと豊かに住まう──工芸と暮らしが重なるペッタンコハウス

地元産カラマツの架構をそのまま空間化した住まいの中心部分。無垢材1本で成立する寸法計画を前提に、建物高さを抑えながらの合理化を図っている。

南側に開いたリビングと薪ストーブの配置。南側に向かって大きく開いた開口と建物中央に据えた薪ストーブが光と熱の拠点となる。

切妻屋根の断面操作によって生まれた、立体的な生活空間。短手四間・長手六間の矩形平面に、長手方向の水勾配屋根を重ね、中央部のみを持ち上げて2階を内包し上下方向の広がりを確保している。

ドーマーとルーバーがつくる、光と風の制御装置。屋根に設けたドーマーから自然光を落とし、2階床のルーバーや個室の欄間を通して空気が抜ける。

高さを抑えたシンプルな外形が敷地条件に素直に応答する外観。西・北の道路、南の川という三方に開かれた敷地に対し、過度な造形を避けた抑制的なボリューム。

長野県松本市に建つペッタンコハウスは、夫婦と子どものために計画された住宅。 敷地は西側と北側が道路、南側には川が流れる三方に開かれた伸びやかな環境です。

お施主さんは江戸指物師四代目の工芸家で、住まいであると同時に将来的には自身の制作した家具などを展示するギャラリーとして使われることも想定されました。

設計にあたり重視されたのは、床面積を確保しながらローコストで建てること、そして地元のカラマツ材を活かすことでした。そのため、建物の高さを極力抑え形状をシンプルに整える方針がとられています。

1階床を土台より下げ、棟部分の通し柱においても土台上端から梁下端までを4メートル以内に抑えることで、一般的に流通する無垢材1本で架構を成立させています。平屋のような建て方をベースとしながら、コストと構造の合理性を両立した構成です。

平面は短手四間・長手六間の矩形とし、長手方向に水勾配をとる切妻屋根を架けています。屋根の中央部のみを高く持ち上げ、その内部に2階を内包することで、建物全体の高さを抑えながらも立体的な空間を生み出しています。

南を流れる川から北側の道路へと、パブリックからプライベートへ緩やかに移り変わるゾーニングも、この敷地条件に素直に応答したものです。

玄関は妻入りとしつつ、ギャラリー利用時には南側からの平入りも可能とするなど、暮らしと展示の切り替えにも柔軟に対応しています。屋根に設けたドーマーからは光が降り注ぎ風が抜けます。

1階の薪ストーブは、南北の吹き抜けや個室の欄間、2階床のルーバーを通して、建物全体の熱環境を整える役割を担っています。

高さを抑えた外観の内側に、光・風・熱が巡る豊かな断面を内包するペッタンコハウス。工芸家の住まいとして、そして場として静かに長く使い継がれていくことを前提にした住宅です。

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