プロの住宅レシピ 狭小地でのびやかに暮らす、公園と連続するスキップフロアの家

設計島建築事務所
三浦 正博

キッチンに立ちながら子どもたちが公園で遊ぶ様子をうかがえる。

造作のテレビボードは階段の手すりと仕切り壁を兼ねたデザイン。兼ねる工夫で省スペースに。

一畳分だけ畳を敷いた穴倉のようなスペースは、秘密基地のような特別な居場所。

外観も公園の高低差に呼応するデザインに。公園の擁壁のコンクリートブロックに合わせて下部の素材を切り替えることで、周辺環境との連続性を意識。

住宅密集エリアに建つ、敷地面積81㎡、家族5人の住まい。
この計画では、限られた敷地の中でいかに多様な居場所をつくるかが大きなテーマでした。お施主さまのご希望も、個室にこもるのではなく、どこにいても家族の気配を感じられる住まいにしたいというものでした。

そこで、子ども室や主寝室にはあえて扉を設けず、階段室の吹き抜けを介して住まい全体が緩やかにつながる構成としています。
さらに、住宅密集地という環境を踏まえ、窓の配置にも工夫を凝らしました。南側は隣家が迫り採光が厳しい一方、北側には道路を挟んで敷地より約1.4m高い位置に公園が広がっています。この高低差を活かし、公園の景色を住まいに取り込むことを目指しました。
内部はスキップフロアとし、狭小地を立体的に活用しています。一層目は地盤面と同じ高さの基礎スラブとし、そこから半階上がるとリビングダイニング、さらに半階ずつずれながら子ども室、主寝室へとつながる構成です。
リビング兼ダイニングの床レベルを北側の公園の地盤面に合わせることで、窓の先に視線がすっと抜け、実際の面積以上の広がりを感じられる空間になりました。キッチンからは公園全体を見渡すことができ、遊ぶ子どもたちの様子を見守りながら、気軽に声を掛けられる距離感です。
専用の庭はありませんが、公園をまるで自分たちの庭のように取り込めるのは、この住まいならではの魅力です。

また、狭小地だからこその工夫も。
リビングはダイニングと兼ねて計画し、省スペースでありながら暮らしの中心の場となるようにしています。ソファベンチと組み合わせた大きなダイニングテーブルを据えることで、食事だけでなく、くつろぎや作業など、多様な時間を過ごします。
また、テレビボードは階段の手すりと仕切り壁を兼ねたデザインとし、無駄のなデザインに。半階上げた床下は約1.4mの高さを確保し、大容量の床下収納として活用しています。
さらに、一畳分だけ畳を敷いた小さな「穴倉」のような居場所も設けました。一畳でも質の異なる空間があることで、暮らしの質が高まります。読書に集中したり、遊んだりと、秘密基地のような場所です。
敷地環境や条件を丁寧に整理することで、この住まいにしかない空間と魅力が生まれました。

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三浦 正博

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