プロの住宅レシピ 暮らしやすさを追求した、ノームコアな住まい
大畠 稜司
今回のリノベーションでは、「ノームコア」という考え方を設計のベースとしています。
特定の「○○風」や「○○調」といったカテゴリーに当てはめるのではなく、ご家族の日常や生活に欠かせない家具と自然に馴染むノームコアを追求しました。
ノームコアな空間の中にも、お客様の希望やこだわりを反映しています。
空間の主役となるステンレスのキッチンとモルタルの壁は、奥様のご希望です。調理器具を集めるのがお好きな奥様に合わせ、見せる収納としました。
収納棚は奥様の身長に合わせて低めの位置に集約したことで、日々の家事動線を楽にし、空間の圧迫感も解消しました。また「収納はあればあるほど物は増える」という傾向を考慮し、あえて収納数の上限を設けることで、暮らしの質を維持できます。
こうした目に見える意匠と同様に大切にしたのは、肌で感じる「空気」です。
特に古いマンションのリノベーションでは、断熱性能の向上は欠かせません。今回は発泡スチロール系の板状断熱材を採用し、冬は暖かく夏は涼しい、暮らしの根幹を支える性能を確保しました。さらに、家族が集まるLDKや主寝室には自然塗料を採用し、深呼吸したくなるような健やかな空気環境を整えています。
ノームコアな住まいとは、飾りすぎず、自然体の美しさを大切にした住まい。
住まい手が感じる心地よさを起点に暮らしの本質に向き合うことで、流行に左右されず、長く愛される住まいへと生まれ変わりました。
Photo : Nozomu Ishikawa