プロの住宅レシピ ヨーロッパ型のキッチンに囲まれた半地下ダイニング

横井 創馬
ヨーロッパのアパルトマンや田舎の家で見られるキッチンに囲まれた温かみのあるダイニング。
このダイニングキッチンは省スペース化を可能としながら、建物の北側基礎部分に入り込むように半地下に設計することで、大きな気積を確保しながら夏は涼しく、冬は床暖房で暖かく快適に過ごせます。
キッチン収納では、圧迫感を与えないよう配慮しています。目線の位置で奥行きが判断されるため、目線の高さに大きな家具や吊り戸棚を設けると空間に狭さを感じます。そこで、目線より低い位置にオープンな収納を配置することで、空間の開放感を保ちながら収納が可能になっています。
また、生活感を隠すのではなく、あえてオープン収納とすることでことで温かみのある空間を作り出しました。すべてを隠す収納も選択肢のひとつですが、生活感は住まい手の個性であり、家族の温もりを感じる要素でもあります。木材をふんだんに使ったデザインの木のぬくもりと合わさり、心地よい日常の温度感を感じる場所となっています。
さらに、キッチンのすぐ後ろにダイニングを設けることで、キッチンと一体化し、自然と家族が集まり、協力し合う環境が生まれています。また、キッチンの隣の螺旋階段では、子どもたちが遊んだり、家族でコミュニケーションを取ったりと、キッチンを中心に温かい時間が流れる空間です。
Photo : 高橋菜生