田邉雄之建築設計事務所
住所: 神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-9-62フォーラムビル301
TEL : 0467-37-5951
E-mail
:info@yuji-tanabe.com
URL : https://yuji-tanabe.com/
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■ カラマツと豊かに住まう──工芸と暮らしが重なるペッタンコハウス
長野県松本市に建つペッタンコハウスは、夫婦と子どものために計画された住宅。
敷地は西側と北側が道路、南側には川が流れる三方に開かれた伸びやかな環境です。
お施主さんは江戸指物師四代目の工芸家で、住まいであると同時に将来的には自身の制作した家具などを展示するギャラリーとして使われることも想定されました。
設計にあたり重視されたのは、床面積を確保しながらローコストで建てること、そして地元のカラマツ材を活かすことでした。そのため、建物の高さを極力抑え形状をシンプルに整える方針がとられています。
1階床を土台より下げ、棟部分の通し柱においても土台上端から梁下端までを4メートル以内に抑えることで、一般的に流通する無垢材1本で架構を成立させています。平屋のような建て方をベースとしながら、コストと構造の合理性を両立した構成です。
平面は短手四間・長手六間の矩形とし、長手方向に水勾配をとる切妻屋根を架けています。屋根の中央部のみを高く持ち上げ、その内部に2階を内包することで、建物全体の高さを抑えながらも立体的な空間を生み出しています。
南を流れる川から北側の道路へと、パブリックからプライベートへ緩やかに移り変わるゾーニングも、この敷地条件に素直に応答したものです。
玄関は妻入りとしつつ、ギャラリー利用時には南側からの平入りも可能とするなど、暮らしと展示の切り替えにも柔軟に対応しています。屋根に設けたドーマーからは光が降り注ぎ風が抜けます。
1階の薪ストーブは、南北の吹き抜けや個室の欄間、2階床のルーバーを通して、建物全体の熱環境を整える役割を担っています。
高さを抑えた外観の内側に、光・風・熱が巡る豊かな断面を内包するペッタンコハウス。工芸家の住まいとして、そして場として静かに長く使い継がれていくことを前提にした住宅です。