パサージュのある事務所の改修

作品紹介

2人の共同経営者が主宰する事務所の改修プロジェクトである。2人の人間がある時間を共有する空間は、社会における最小の空間単位とも言える。1つの空間に2つの個性や欲求が求められるこの場所に、私たちは多数の選択に満ちた単位空間を生み出した。それぞれの居場所が個性を持ちつつ、切り離されず連関した状態を目指す。小さな居場所と全体の広さを、適切なバランスをもって構成した。

既存空間の解体に伴い、多くの発見があった。上階の設備シャフトが、1Fの当該事務所内を縦横無尽に貫通している。ビル全体の水道メーターや汚水桝、その他設備配管など、定期的な検針や点検を要する部分が1階内部に存在するのだ。これは元々オーナーの自社ビルであった事に由来するが、建物全体で共有する部分を1Fの借主が請け負わなければならない。そこで私たちは、40数年という歳月の中で徐々に蓄積されたこのような[ひずみ]を、積極的に引き受けようと考えた。2人の執務空間をコアとしてフロアの中央に配置し、同時発生的に生まれた周辺の空間は、他者の介在を許容する場となる。この余剰空間を私たちは[道]と定義し、極めて私的な領域の中にある公共性について考えた。

作品データ

所在地: 愛知県 名古屋市千種区

延床面積: 28㎡

施工会社: 辻創建株式会社

作品集

物件

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