cotoiro ― 小さなマドベヤが集まってできる家

作品紹介

カーテンと窓ガラスの間に居場所を見つけた猫を見て、そこにはどんな世界があるのだろうかと想像を膨らませることがあります。外部に最も近い室内、しかしどちらからも少し遠く感じる異世界のような住宅です。

 

全国で工務店フランチャイズを運営する企業(株式会社ベツダイ)とサッシメーカー(YKK AP株式会社)により開催されたコンペ「窓辺から生まれる暮らし」からこの商品住宅プロジェクトが始まりました。

「窓辺でしたいこと」という問いに対して、昼寝をしたい、本を読みたい、食事をしたい、外を眺めたい、など誰からも答えが返ってくるように、窓辺で何かをしたいという思いには一般性がある一方、周辺環境や住まい手のライフスタイルなどによって、具体的な振る舞いには違いがあります。窓辺での行為にフォーカスすることで、商品住宅において必要とされる共通性と任意の敷地や住人への順応性を重ね持たせることができるのではないかと考えました。

サッシと額縁、カーテンの間を押し広げて発生させた小さなスペースに、様々な窓辺のアクティビティを割り当てた「マドベヤ」を住まい手が選んで組み合わせる仕組みとしました。家具スケールから2.7m四方の小部屋まで、大きさや内外との繋がり、仕上など個別に設定された「マドベヤ」を、基本的な機能を備えた正方形の「ベース」の各面に各階4つずつ、計8つ接続できます。「ベース」には玄関がなく、土間仕上げの「マドベヤ」であるライブラリーや土間キッチンなどを出入口として配置します。それらは日常的に人を招き入れたり、住み開きをしたりできるような街へ繋がる窓辺としても想定しています。

窓から入った光が「マドベヤ」の仕上げの色を内外へ反射させるのと同時に、「マドベヤ」のアクティビティが内外へと滲みだすことで、住宅全体が完成します。窓辺から生まれる暮らしを家族で語り合いながら、それぞれの場所で個性ある住宅をつくりあげてほしいと願っています。


2015年グッドデザイン賞受賞

photo by Masao Nishikawa

作品データ

所在地: 大分県 大分市

延床面積: 85.27㎡

施工会社: 株式会社ベツダイ

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