プロの住宅レシピ 上土間でポタジェとつながる、こだわりのリビング

平井 政俊
野菜やハーブ、果樹、草花が一緒に育つ農菜園「ポタジェ」から考えた住まいづくり。リビングからポタジェへ、そして街へとつながるように設計しています。
ポタジェに向かって住まいの真ん中を走る上土間うわどま。その中心にリビングを配置しています。
住まいの中心にリビングを設けると光が入りにくく、暗くなりがちです。リビングの中心に安定した柔らかな光を取り入れるため、屋根の素材と色から考えました。軒上を含む屋根をクリーム色のガルバリウム鋼板にすることで、この家の象徴となる大きな屋根を鋼製しながら、空の光を受け止め、高窓から室内へ拡散光を取り入れます。そして、室内のシルバーに塗装した天井がレフ板の役割となり、リビングを柔らかく照らします。室内は最低限の照明でも十分です。
この高窓は、上昇する温かい空気も逃がすので、家全体の通風を促してくれます。
空調では、オーダーメイドのカーテンを設けて、空調区画をつくることで対応しました。このカーテンは袋状になっていて、布と布の間に空気層を作ります。この空気層が隣の部屋の温度を遮ります。上部はオーガンジー素材で光を通すため、圧迫感を感じることなく、空間も無駄なく使えます。
このポタジェとつながる暮らしの豊かさは、住まいのそれぞれの機能と心地よさの追求から生まれています。