プロの住宅レシピ “落ち着く” をつくるLDK

出村 昌也
この住まいのLDKは、一歩足を踏み入れると、落ち着いた感覚に包まれます。
その理由の一つが、高さを抑えた天井です。天井高は約2.2メートルと、最近の住宅としてはやや低めですが、この高さが明るいながらもちょうどいい籠り感を生みだします。隣接する土間が高天井である分、空間のメリハリが際立ちます。
空間を構成する素材へのこだわりも、この落ち着いた雰囲気を生み出す要素のひとつです。
天井に採用した檜の板材が、白く吹きつけられた漆喰クロスの壁とやわらかく調和。漆喰を吹きつけた壁は、通常の壁紙では出せないマットで深みのある仕上がりで、光を吸い込みすぎず、反射しすぎない、ちょうどよいトーンへ。光が乱反射して空間全体をやさしく包みます。
さらに、隣り合う和室とは完全に閉じずに一部の壁を開くことで、LDKと有機的につながる空間に。開放感とこもり感のバランスが取れた一角となっています。
高ければいい、広ければいいという固定概念にとらわれず、「低いゆえの心地よさ」を丁寧にデザインしたLDKで、優しく包まれたような落ち着きを感じます。
お施主様からも「おうちの中で発見に出会える、いまだに飽きない」という声をいただき、細部にこだわった部分に毎回気づいていただけ、嬉しく思います。