プロの住宅レシピ ふたりの希望を叶える、光と床の住まい

「家全体に光が溢れワンルームのようにつながる空間がいい」というご主人。「掃除がしやすく、収納が多く、プライバシーを守りたい」という奥様。お二人の希望をどちらも叶えるため、様々な工夫を取り入れました。
まず、住まいはレベルの異なる6つの床を、少しずつずらしながら巻き上げるように設計。そこで生まれた段差を活かして、一段高くなったダイニングスペースの床下をまるごと収納とし、さらに階段の踊り場にもたっぷりと収納を設けました。
また、この段差が緩衝帯となり、ワンルームのような空間でありながらも個々の居場所とプライバシーを保ちます。
「光で溢れる住まいでありながら、プライバシーを守りたい」という相反するご希望を叶えるため、光の取り入れ方にも工夫を凝らしました。周囲の環境から、将来的に建物が建つ可能性も考慮し、外壁には開口を多く設けず、床と床の隙間から自然光をミルフィーユ状に取り入れる設計に。
外壁にはポリカーボネート中空板を帯状に覆い、たっぷりと光を取り入れながらも、断熱性とプライバシーを確保しました。
また、天井近くに帯状のハイサイドライトを設けることで、空や風景も室内に取り込みます。
さらに、透明ガラスから差し込む直射光、ポリカーボネート中空板から届くぼんやりと優しい間接光、そして床の隙間から漏れる光と、質感の異なる3種類の光が混ざり合い、時間や天気によって表情を変え、住まいに豊かさを与えます。
積極的に取り入れた自然素材と、素材の質感をそのまま見せる真壁構造を活かし、家全体がフレームのような存在となり、子どもたちはその中を自由に駆け回る…伸びやかな日常が生まれた住まいです。
希望をかたちにしながら、暮らしの自由をやさしく包み込む住まいができあがりました。