プロの住宅レシピ 暮らしの声が空間を整えていく──洗面所という“生活の器”

株式会社リオタデザイン
関本 竜太

洗濯物を一時的に干せる物干しバーやハンガーピンチ用のパイプ、作業にも使える窓際の台など、家事の中継地点としての機能が随所に。手前の壁に埋め込んだペーパータオルはお施主さんの声を反映。Photo:繁田諭

天井材

繊細なヒノキの天井が浴室と洗面空間を繋ぎ、窓向こうの景色がさらに空間の奥行を広げている。日々の動線に視覚的な心地よさも寄り添ってくれる。Photo:繁田諭

「タオルをちょっと置きたい」──お施主さんの声がきっかけで生まれた洗面器下の小さな棚。カフェモカ色のタイルと共に、洗面空間の新たな定番となった。Photo:新澤一平

生活感を包み込む仕組みを設計に組み込んだ空間は、洗面所の中でもとくに共感を集め、SNSでの反響も大きい。Photo:新澤一平

タイル

無限にある選択肢から選ぶのは楽しい反面、ストレスになってしまうこともある。そんな想いから、関本さんがいつもお施主様に提案するシンプルなボーダータイル。Photo:新澤一平

暮らしの “こうだったらいいな” を、ちゃんとかたちに。

「タオルをちょっと置ける棚が欲しいなあ」
「このへんに仮干しできるスペースがあると助かるんだけど…」

そんな日常のささやかな“つぶやき”が、建築家・関本さんの設計では、しっかり図面に落とし込まれていきます。 関本さんは、住まい手の“言葉にならない本音”をすくい取る達人。 新築やリフォームの打ち合わせで、多くのご家庭が密かに願っているのはこんなこと。 「これを機に、スッキリ片付いた暮らしを始めたい」 「今度こそ、ちゃんと整った家にしたい」

でも気合いだけで毎日きれいに保つのは、正直むずかしい。 『でも、大丈夫です。皆さんそうおっしゃいますが、実際にはちゃんと片付いてますよ。私たちが“何をどこに置くか”まで考え抜いていますから』と、関本さんはいたずらっぽく笑います。

関本さんの家づくりは、収納をどーんと用意して「ご自由に」では終わりません。 洗面台の裏やタオルの仮置き場、ピンチハンガーの位置まで、すべてが最初から計画済み。 動線に馴染んだ設計だから、気づけば自然と片付いているのです。 中でも人気なのが、“無印良品規格”での収納設計。 「この商品をこの数だけ買ってください」とリスト片手に、お施主様は無印でお買い物。 引き渡しの日には、棚にも引き出しにもクリアケースがぴたりと収まり、入れるものまで決まっているという気持ちよさ。

たとえば洗面室の収納棚。扉を開けると、A4ファイルボックスが2つぴたり。 このボックスがハンガーの収納にぴったりだというのも、奥様方の“生活の知恵”から生まれた発見です。 作業台の上で洗濯物を畳みアイロンを。壁にはピンハンガーを一時かけておけるフックも完備。 「手の届く範囲に置き場所が決まっていれば、いちいち物を探して動くことも、移動して片付けることもなく散らかりません」 と誇らしげに笑いつつ、『でも“自分で決めたい派”には踏み込みませんよ』とお茶目に微笑みます。

暮らしの姿勢が一番素直に映るのは、水まわりかもしれません。 その空間を、まるで家事の相棒のように頼れる存在にしてくれるのが、関本さんの設計です。『奥様の気持ち、けっこうわかってるでしょ?』と、にっこり楽しそうに。

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採用されている製品

羽目板|nojimoku
株式会社nojimoku
株式会社リオタデザイン
関本 竜太
ここが私の評価ポイント!
風呂天井材にはnojimokuの小幅板風羽目板を採用。
100mm幅の桧板に溝を付けることで、小幅板のように見せつつ施工性も良いという羽目板。 特に湿度の高い浴室天井に好んで使用しています。浴室は人が無防備になる空間。
桧の香りとともに、見上げたときに天然木の繊細なテクスチャが見えるのもまた、リラックスと安らぎを高める効果もあると思っています。
採用製品
株式会社リオタデザイン
関本 竜太
ここが私の評価ポイント!
 タイルには平田タイルのsmartを採用。 洗面所や浴室、キッチンの一部にアクセントのように使う定番のモザイクタイル。 どの建て主さんにご提案しても気に入って頂ける普遍性と、タイルの種類だけを決めて色を自由に選んで頂くという方法で、納まりやデザインは押さえながら、建て主さんの満足度も高めることができています。
採用製品
株式会社リオタデザイン
関本 竜太

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