プロの住宅レシピ 余白と光をデザインする、ゆとりある暮らしの玄関
秋山 怜史
この敷地は三軒分に分割された旗竿地で、周囲は住宅に囲まれています。
建物に囲まれる環境の中で、光や自然をどう取り入れるかが設計のポイントになりました。
そこで、上から差し込む光を活かすとともに、玄関アプローチに余白を設けることで、外との程よい距離感をつくっています。玄関と道路の間に緩衝空間を設けたことで、空間的にも心理的にも余裕が生まれ、自然や光を意識できる場所になりました。
広々とした玄関ホールの正面には中庭を配置し、自然光と緑を効果的に取り込みます。吹き抜けを通して空間に広がりが生まれ、室内にいながら外とのつながりを感じられる設計です。
玄関からどの空間を見通せるかを意識し、視線の抜けや居場所のつながりを丁寧に計画することで、連続したシーンが展開します。
中庭は広くはないものの、机や椅子を置ける程度の余白を確保。現在はお施主様が育てた緑が並び、より自然の心地よさが感じられる空間になっています。
旗竿地でありながら、玄関からテラス、中庭へと続く視線と空間の連続性が、ゆったりとした開放感を生み出しています。
Photo : 鳥村鋼一写真事務所