プロの住宅レシピ 離れのような和室、アトリエのような家事室

SHU一級建築士事務所
前島 周子

旦那様ご希望の、離れのような和室。

奥様ご希望の、アトリエ兼家事室

この平屋の住まいには、ご主人と奥様それぞれの「自分のための空間」を設けました。

まず、ご主人が希望したのは「離れ」のような場所でした。
離れをつくるために建物を分けると、無駄な面積が生まれてしまうため、家の中にありながら、少し距離を感じられる「離れのような和室」を提案しました。
和室には、ほかの部屋とはつながらない専用の坪庭テラスを設けました。窓はあえてぐっと低く設定し、視線が自然と落ち着くように計画。収納扉をダークネイビーでまとめることで、空間全体に静けさと深みを与え、こもれる場所としています。
また、ご主人の夜勤の生活にも配慮し、玄関近くに配置することで、気兼ねなく出入りできる動線に。外へ開くのではなく、内側へ静かに沈み込むような空間で、ゆっくりと自分の時間を過ごす場所です。

一方で、奥様が望んだのは、家事をこなすだけの場所ではなく、好きなことも楽しめる「小さなアトリエ」のような空間でした。
そこで、家事室兼ファミリークローゼットの中に奥様の居場所をつくることを提案。ウォークインクローゼットの一角に家事コーナーを設け、絵を描いたり作業ができる、半プライベートなスペースとしました。
家事と趣味が自然につながる場所にしたことで、義務感が出やすい家事も、好きなことと隣り合わせることで気持ちが軽くなり、家事の時間そのものが楽しくなります。結果として、自分の好きなことに向き合える時間も自然と増えていきます。
毎日の家事が少しでも楽になるよう、家事室としての機能性にもこだわっています。洗面脱衣室や浴室に隣接させることで、家事動線は最短に。さらに物干しバルコニーともつながっているため、洗う・干す・しまうの一連の作業がひとつの流れで完結します。可動式ハンガーラックを取り入れることで収納力も拡張でき、日々の家事がスムーズです。
家事をこなす場所から、自分のスペースとして楽しめる場所へと整えました。

和室や家事室といった「いつもの場所」を、それぞれのリズムに寄り添うスペースとして計画したことで、家族のつながりと自分の時間のどちらも大切にできる住まいになりました。

Photo:上田宏

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前島 周子

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