プロの住宅レシピ 自然と向き合う住まい──保存樹林にひらく家のかたち

一級建築士事務所 光設計
栗原 守

調布市入間町の保存樹林に西側で隣接する敷地。一般的には閉じがちな西面に対し、あえて森に向かってひらく構成とし、建物全体で緑を受け止める佇まい。

地盤より約55cm床レベルを上げながら、階段を使わず緩やかなスロープで玄関へ導く。車椅子の方の来客も想定し動線や寸法を丁寧に計画。誰にとっても負担のない「迎え入れる外構」をかたちにしている。

玄関庇に落ちた雨水は地面へと導かれ、土中へ自然に浸透する仕組み。都市型洪水対策としても推奨される考え方を住まいに落とし込み、雨を排除せず循環の一部として受け止めている。

樹林地側に大きく開いたバルコニー。建物越しではなく、目線の高さで緑に触れられる位置関係を活かしている。日常の延長として森を感じられる、室内外をゆるやかに繋ぐ居場所。

フェンス越しに広がる保存樹林は、視線を遮らず安全性を確保する最小限の存在。人工物を主張させず、緑が主役になる距離感を意識した。自然と「眺める関係」ではなく「隣り合う関係」を築く外部空間。

東京都調布市入間町。敷地の西側には、NPOが管理する保存樹林「入間緑地」が広がります。
ご夫婦と大学生の息子の3人家族は、土地探しの段階からこの森に強く惹かれ、見学を重ねるうちにNPOの活動にも参加。林の整備を手伝いながら、自然と関わり続ける場所としてこの地を選びました。

家づくりにおいての最大のご要望は、「家のどこにいても森を感じながら暮らしたい」ということ。一般的に西側は西日を避けるため閉じがちですが、本計画ではあえて森に向かって開くプランを採用しています。大きな開口部やテラス、浴室の配置まで、西側の樹林を暮らしの一部として取り込む構成としました。

外観計画で特徴的なのが、誰もが使いやすいアプローチのつくり方です。地盤より約55cm床レベルを上げながら、階段ではなく緩やかなスロープで玄関へと導く計画としました。車椅子を利用するご友人が気兼ねなく遊びに来られるよう、寸法や動線をあらかじめ計画。単なるバリアフリーにとどまらず、「迎え入れる余白」を大切にした外構となっています。

また、玄関庇に落ちた雨水は地面へ導かれ、土中に自然に浸透する仕組みを採用しています。 都市型洪水対策として各地で推奨されている考え方を、住まいの中で実践しています。雨を自然の循環に戻すという姿勢が住まい全体の思想を象徴しています。

国産材を中心に、工務店や大工と顔の見える関係で進めた家づくり。森と共に生きるという選択を、外観やアプローチといった「最初に触れる場所」にまで丁寧に落とし込んだ住まいです。

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