プロの住宅レシピ 2戸を1つに!団地リノベーションの新しい可能性

ナノメートルアーキテクチャー
野中 あつみ・三谷 裕樹

2戸を横に繋ぐ「ヨコニコイチ」。ベランダが生活動線にひとつに。

2戸を横に繋ぐ「ヨコニコイチ」。2つの玄関も生活動線のひとつに。

2戸を縦に繋ぐ「タテニコイチ」。団地の階段が住まいの階段!?

庭と住戸をつなぐ「リノベ45庭付き」。

団地でキャンプ気分も楽しめる。

築50年以上の団地では、住戸の広さや間取りが現代のライフスタイルに合わず、暮らしにくさを感じることが少なくありません。今回のリノベーションでは、従来の1戸(約45㎡)では手狭だった住まいを、2戸組み合わせることでより広く、柔軟に使える住空間へと生まれ変わりました。

このプロジェクトでは、団地の特性を活かしながら、3つの異なる住まいの形を設計しました。
1つ目は、 横につなぐプラン「ヨコニコイチ」。
隣り合う2戸をつなぎ、約90㎡の広々とした住空間を確保するプランです。団地は壁式RC造のため、住戸の壁を完全に取り払うことはできませんが、玄関を出てもう一つの玄関に入る形や、バルコニーをつなぐことで、2戸を1つの住まいとし、生活動線をつなぎました。これにより、従来の45㎡では難しかったワークスペースや子ども部屋も確保でき、家族構成や住まい方の変化にも柔軟に対応できます。

2つ目は、 縦につなぐプラン「タテニコイチ」。
上下の2戸をつなぐことで、メゾネットタイプの住まいへと改修しました。上階を寝室や個室スペース、下階を家族が集まるLDKとして活用。朝起きて1階で朝食をとり、2階で身支度をするなど、一戸建てのような生活スタイルが送れます。特に、書斎や趣味のスペースを設けやすく、仕事と生活のバランスを取りやすいのが特徴です。

3つ目は、庭とつながるプラン「リノベ45庭付き」。
1階住戸では、ベランダから直接庭へ出られる階段を設置し、屋外空間を積極的に暮らしに取り入れました。団地は隣棟間隔が広く、通風や採光に優れています。この環境を最大限に活かし、外部をアウトドアリビングのような使い方を想定。庭では子どもが遊んだり、テントを張ってキャンプごっこを楽しんだりと、団地暮らしの中で自然とふれあえる暮らしを実現しました。

単体の住戸では限りがありましたが、隣や上下の住戸、外部を組み合わせることで、広く、多様なライフスタイルが送れる住まいへと生まれ変わりました。既存の団地のイメージが大きく塗り替わり、住む人の暮らし方に合わせた新しい可能性を生み出すリノベーションは、団地のみならず、集合住宅の暮らしの可能性を広げてくれます。

Photo : ToLoLo studio

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野中 あつみ・三谷 裕樹

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