プロの住宅レシピ 団地リノベで広がる、多様な暮らし方 ~住戸の中心に「ロの字」の空間~

ナノメートルアーキテクチャー
野中 あつみ・三谷 裕樹

45平米の住戸の中央にロの字の壁を建て、その内外でシーンを想定。

塗装

壁は収納スペースやインテリアの一部として活用。自分好みにカスタマイズできる。

内外の境界には段差をつけ、公私を切り替えるきっかけとした。

解体した際に現れるコンクリートの質感や、かつての住まいの痕跡を残し、活かしたデザインへ。

リノベーション前の様子。

壁式RC造の団地のリノベーションでは、構造上、壁を大きく変えることが難しいため、間取りの工夫が住み心地を左右します。
今回のリノベーションでは、従来の団地の「田の字」型プランに代わり、住戸の中心に「ロの字」の空間を設けるプランで、団地の特性を活かしながら、柔軟な暮らしを楽しめる住まいへと生まれ変わりました。

一般的な団地リノベーションでは、ワンルームのような広い空間を作ることが多いですが、この場合、空間が広すぎて使いこなせないことや、家具が増えてかえって狭く感じてしまうことが課題としてあがりました。
そこで住戸の中心にロの字型の四角い箱を配置し、その隙間を縫うように小さな空間を設けることで、暮らしやすさを向上させました。 ロの字の内側はLDKなど「集いの間」として使えるサイズとし、ロの字の外側は用途を限定せず、住み手のライフスタイルに合わせて変化できるサイズ感にこだわりました。例えば、ワークスペースや子ども部屋、収納スペースとして活用できます。
さらに「ロの字」の空間を作る壁を、収納やインテリアの一部として機能させました。壁の厚みを活かした収納スペースにすることで、限られた空間に収納力を確保。小物を飾ったり、洋服を掛けたりと、住む人が自由にカスタマイズできる設計です。

また住まいには、団地の歴史をデザインに反映させるため、解体した際に現れるコンクリートの質感や、かつての住まいの痕跡を活かしながら、新たなデザインへと更新。コンクリートの荒々しさは残しながらも、木材とのバランスを調整することで優しい空間を目指しました。

今回のリノベーションでは、単に部屋を作るのではなく、多機能を兼ね備えた壁を住まいの中心にロの字型に配置することで、既存の団地の間取りに囚われない、新しい空間となりました。

Photo : ToLoLo studio

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採用されている製品

外装用仕上げ材 |エスケー化研株式会社
エスケー化研 株式会社
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ここが私の評価ポイント!
カラークリアー3分艶 CRP-04 10%、塗り回数3~4回塗って仕上げてます。 カラークリアは、コンクリートだけでなく、壁・床・天井など、幅広い用途で活用できます。今回の施工でいうと、荒々しい素材の質感を適度に和らげながらも、完全に覆い隠さないという点がよかったです。既存の壁に残る痕跡を真っ白でツルツルに仕上げるのではなく、微妙に透けて見えるように調整できるので、素材の個性を活かした仕上げが可能になります。 今回のプロジェクトは、塗装職人さんとで何度も話し合い、最適な仕上がりを追求しました。特に既存の素材を活かしながら新しい空間をつくるリノベーションではおすすめです。 
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