プロの住宅レシピ 団地リノベで広がる、多様な暮らし方 ~狭いベランダを暮らしの一部に~

ナノメートルアーキテクチャー
野中 あつみ・三谷 裕樹

ベランダから続くサンルーム空間へと改修した住戸。

コンクリートの側溝を活用したベンチから、ベランダに向かって腰が掛けられる。

陽だまりの窓辺。思わず滞在したくなる工夫が盛り込まれている。

狭くて使いにくいベランダから心地が良い場所へ。

団地のベランダは奥行きが狭く、使いづらさを感じることがあります。実際、「ほとんど活用していない」「洗濯物を干すだけの場所になっている」といった声も少なくありません。今回の団地リノベーションでは、そんなベランダを住空間の一部として取り込み、心地よく過ごせる場所へとリノベーションしました。

この住戸では、リビングの延長としてベランダが使えるよう、窓際にベンチを設置しました。ベランダ側に足を伸ばせるようにベンチを設けることで、室内外が一体となり、ベランダに奥行きが生まれます。
ベンチには無骨なコンクリートの側溝を活用しました。インテリアとしても馴染むよう塗装を施すことで、腰を掛けるだけでなく、小物を置いたり、植物を育てたりと、住み手に合わせて自由な使い方ができます。

また、別の住戸では、室内干しができるサンルームのような半屋外空間へとリノベーションを行いました。奥行きが狭いベランダでは、洗濯物を干すのも一苦労。また、花粉の季節には外干しをしたくないというニーズも高いため、団地特有の南北に開口をもつ風通しの良さを活かし、ベランダを取り込んだ空間にしました。これにより、ベランダとリビングが一続きとなり、面積以上の広がりを感じられます。
使いにくかった団地のベランダを、積極的に暮らしへと取り込む設計で、思わず過ごしたくなるベランダへと生まれ変わりました。

Photo : ToLoLo studio

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野中 あつみ・三谷 裕樹

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