プロの住宅レシピ ミニコンサートも開催!和室をリノベーションでピアノ教室へ

武藤 重則
和風の民家をリノベーションしたこの住まいには、玄関をふたつ設けています。ひとつは家族が使う通常の玄関、もうひとつは土間空間となる入口で、こちらはピアノ教室の生徒さんの出入り口として使われています。
もともとの和室を改装して生まれたピアノ教室は、土間を介して屋外ともゆるやかにつながる設計です。外とのつながりを意識して設けた木製建具の大開口を全開すると、4メートルにも広がり、すべてを開け放つと庭とひと続きとなります。庭に設けた縁側に腰を掛けてBBQや花火を楽しんだりと大開口ならではの様々な楽しみ方ができます。
ときにはコンサート会場として、ミニコンサートを開催。土間には椅子を並べて客席へ。フローリングスペースはステージへと変わります。
土間の傍らには薪ストーブを設置し、ストーブを囲って会話を楽しんだり、火を見ながらゆったりとした時間を過ごしたりと訪れる人をやさしく迎え入れてくれます。
この住まいの設計にあたり、もともとの住まいの素材も活かし、新旧の素材が心地よく融合することを大切にしました。たとえば、ピアノの上に見える印象的な木の天井は、もともとの和室の天井材をそのまま活用。柱も既存のものを残し、あえて見せることで、住まいの記憶を今に引き継ぎます。天井の杉パネルや漆喰の壁も、古材となじむような素材や色合いへと調整しました。
壁の一部は、お施主さんと友人たちで漆喰塗装を行っています。家づくりに参加し、手をかけることで、住まいに対する愛着が増し、住まいづくりを楽しむイベントにもなります。将来メンテナンスが必要になったときにも、自分たちの手で再塗装する等の対応ができる様になります。