プロの住宅レシピ 地産地消の家づくり。木材の特徴を魅力に変える工夫

須貝 日出海
北海道の畑作農家である建主さんの「地産地消」を大切にした家づくりです。
日々、畑で地域の作物を育てているからこそ、住まいにも地元の恵みを取り入れたい…そんな想いから、構造材には近隣地域で育ったカラマツを採用。地域の木材と大工さんによる手刻みで作られた平屋の住まいです。
通常、リビングなどのメイン空間には柱を立てない設計が多いのですが、今回は「木材ありき」の住まいづくり。地域で入手できる木材のサイズが限られており、大きな梁をつくることが難しい状況でした。そのため、使用できる梁の大きさや長さから逆算し、空間の中央に柱を設ける設計としました。
さらに梁や柱の見せ方にもこだわっています。
北海道産のスギやヒノキは節が多いという特徴があるため、使い方に工夫が欠かせません。節が多いことを前提に、梁より下の壁は石膏ボードで白く仕上げるという「割り切り」を採用しました。これにより、すっきりとした空間を保ちながら自然素材の魅力を引き出し、意匠的にも整った印象になります。
延床32坪の住まいは、家族が一体感を持って暮らせるよう、ワンルームのような構成とし、家の中央には天井まで抜ける開口を設けて部屋同士がゆるやかにつながります。平屋ながらも、吹き抜けのような開放感を感じられるよう、メイン空間と隣室は上部でつながり、梁のラインが奥まで伸びて見えることで、実際の面積以上の広がりを感じる住まいです。
PHOTO : 佐々木育弥