プロの住宅レシピ 緑を迎え、家族をつなぐ──栗平に建つ中庭の住まい
木名瀬 佳世
川崎市・栗平の穏やかな環境に建つ、ご夫婦と小学生の子ども2人が暮らすための住まい。土地探しの段階から相談を受け、新百合ヶ丘から2駅という利便性と自然環境のバランスを探したそうです。
もともと街中で暮らしていたお施主さんが求めたのは、自然を感じながらも不便すぎない立地。
都市と田舎の空気が重なり合うこの敷地からは森が生い茂る景色を望むことができ、日常の中で四季の移ろいを身近に感じられます。
建物はL字型とし中庭を囲うように配置。中庭の先にはさらに山の緑が連なり、視線が奥へと抜けていきます。外部の気配を感じながらも過度に開きすぎない距離感を保つことで、プライバシーと開放感を両立しているのです。
開放的な空間を望むご主人と、落ち着いた住環境を重視する奥様、それぞれの思いを丁寧にすり合わせた計画でもあります。
また外観には通学路に面した小さなベンチスペースが設けられています。子どもたちが学校の行き帰りに立ち止まったり、友達と言葉を交わしたりできる場所として計画されたものです。
住まいが家族だけのものに留まらず、日常の風景の中で自然に役割を持つ──そんな考えがこのベンチには込められています。
住まいの中心となるLDKは吹き抜けを介して上下階がつながり、どこにいても家族の存在を感じられる構成。中庭に面したダイニングには一日を通して光が届き、自然と家族が集まる居場所となっています。
リビングは床を一段下げ、包み込まれるような安心感のある空間に。読書をしたり、ピアノを弾いたり、それぞれの時間が同じ場に穏やかに重なっていきます。
都市に暮らしながら、自然と家族に寄り添う──そんな日常を丁寧に編み上げた住まいです。