プロの住宅レシピ 狭小地に広がる、家族の居場所──ヨーロピアンな感性を包み込む住まい

杉浦事務所
杉浦 宏幸

リビングの一角に設えた、ベンチと収納を兼ねる造作家具。床レベルの変化と階段を重ねることで、腰掛けや飾り棚として多用途に使える居場所に。

天井まで連続する木の天井と吹抜けが、上下階をゆるやかに繋ぐ空間。視線と空気が自然に抜けることで、限られた面積でも圧迫感を感じさせない、家族がのびのび過ごせる居場所となっている。

キッチンの手前には、洗濯や家事を兼ねたカウンターと収納を配置。作業に集中しやすい環境を整えつつ、必要なものがすぐ手に届く構成で日々の暮らしを効率よく支えている。

食堂とは分けられたキッチンは、ダークトーンでまとめた大人モダンな設え。背面のアール開口の先には奥様こだわりの壁紙がのぞき、実用性の中にヨーロピアンな趣が感じられる。

アーチ越しに空間が連なり、奥へと視線が導かれる2階フロア。ポイント使いした色や素材が、家族の気配とともにやわらかく重なり、日常の動線そのものが心地よいシーンを生み出している。

木造3階建てのこの住まいはご夫婦と子ども2人の4人家族が暮らすこの住まいは、限られた条件の中で「家族それぞれの居場所」を丁寧に編み込むように計画されました。

奥様の希望はヨーロピアンテイストを感じさせる落ち着いたインテリア。木目を基調に、全体はシックな色合いでまとめつつ、装飾的な壁紙をポイント使いすることで、単調にならない奥行きを生み出しています。

寝室の一部にはヨーロッパから取り寄せた輸入壁紙を採用。暮らしの中に、ささやかな非日常を忍ばせています。

リビングの一角にはベンチと収納を兼ねた造作家具と階段を組み合わせた居場所を設えています。腰掛けたり、物を置いたり、ただ佇んだり。明確な用途を限定しないことで、家族の過ごし方に自然と寄り添う空間となっています。

キッチンは食堂と切り離した配置。アールの開口の向こうに台所を設け、手前には洗濯や家事をこなすための作業スペースをまとめている。生活感を抑えつつ、家事効率を高める構成だ。ダークトーンで統一したキッチンと、大人モダンな雰囲気の水まわりも、この家の落ち着きを支えている。

当時の流れでもあった木を天井に用いる仕上げは、床と揃えたチーク材で統一。凹凸のある表情が、シンプルな空間に陰影を生み、奥様が求めた落ち着いたヨーロピアンな雰囲気をさりげなく支えています。

吹抜けと高窓を介して上下階がゆるやかに繋がり光や風が家全体を巡ります。狭小地であることを忘れさせる、淀みのない空間の流れ。その中に家族の気配と、それぞれの時間が静かに重なっていきます。

限られた面積の中で選び取られた一つひとつの居場所が、日常を豊かに受け止める ── そんな暮らしの風景が、この住まいには息づいています。

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