プロの住宅レシピ 仕事と暮らしが交差する場所──ジャイアントテーブルを据えたアトリエ付き住宅

杉浦事務所
杉浦 宏幸

主室に設えられた1.8m角のジャイアントテーブル。食事、打ち合わせ、制作と用途を限定せず、住まいと仕事の中心として機能する。光の表情が時間とともに変わり、場の使われ方も自然に切り替わっていく。

テーブルと高さを揃えるためキッチン床を一段下げた構成。作業のしやすさと視線の連続性を両立し、空間全体が一つの場として繋がる。アトリエ付き住宅ならではの柔軟な距離感が生まれている。

東西に長い敷地にずらして配置されたボリュームの間に入れられた縦空間。上部からの光が室内に落ち、明るさと奥行きをもたらす。時間帯によって陰影が変化し空間にリズムを与える。

ファインフロアを用いた床は、2階の床でありながら光を通す役割も担う。踏むことができる構造とし、上下階をゆるやかに繋ぐ装置となっている。

2階から屋外へと伸びるルーバー状の床で構成された通路。室内の延長として計画され、屋上テラスへと自然に導く動線となっている。内と外の境界を強く区切らず、空間の広がりを感じさせる設え。

東西に長い敷地に建つ、木造2階建てのアトリエ付き住宅。計画は広告デザイナーであるお施主さんとの対話から始まり、「働くこと」と「暮らすこと」をどう重ねるかが、住まいづくりの軸となりました。現在は息子さんと二人で暮らしながら、日常の延長として仕事を行う住まいとなっています。

住まいの中心に据えられているのが、1.8m角のジャイアントテーブル。食事、打ち合わせ、制作作業と用途を限定せず、生活と仕事の核として機能します。

テーブルの製作で最終的に選ばれたのは、シナ合板を2枚重ねて用いる方法。単に貼り合わせただけではなく板の継ぎ目が目立たないよう、天板には厚み分を掘り込み、内部に金属を仕込むことで強度を確保しています。小口にはアルミ材を用い、見た目の厚みが出すぎないよう細やかな調整が施されています。

脚部もまた、このテーブルならではの工夫が凝らされています。視界に入る要素を極力減らすため、脚は棚を兼ねた構成とし、力が一方向に集中しないよう配置を工夫し、足元の抜けを確保しながら、構造的な安定性も担保しています。

素材や構法の選択には、意匠性だけでなく、コストや使われ方への現実的な判断が重ねられています。完成度の高さは特別な素材によるものではなく、どこに手をかけ、どこを抑えるかという選択の積み重ねによって生まれています。

キッチンは床を一段下げ、テーブルと高さを揃えることで、作業のしやすさと視線の連続性を両立。場の切り替えが、行為によって自然に起こる構成となっています。

縦空間の上部には、光を柔らかく落とす仕掛けが施され、時間帯によって室内の表情が変化します。2階から屋外へと続く通路は、室内の延長として計画され、屋上テラスへと導く動線となっています。内と外を強く分けず、移動そのものが空間体験となるよう意図されているのです。

細部はミニマムに抑えられ、主張しすぎないディテールが空間全体を支えています。過度な装飾に頼らず、使われ方の中で価値が立ち上がる住まい。仕事と暮らしが切り替わりながら、同じ場所に静かに重なっていく──その関係性を建築として丁寧にかたちにした住宅です。

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