プロの住宅レシピ 仕事と暮らしが交差する場所──ジャイアントテーブルを据えたアトリエ付き住宅
東西に長い敷地に建つ、木造2階建てのアトリエ付き住宅。計画は広告デザイナーであるお施主さんとの対話から始まり、「働くこと」と「暮らすこと」をどう重ねるかが、住まいづくりの軸となりました。現在は息子さんと二人で暮らしながら、日常の延長として仕事を行う住まいとなっています。
住まいの中心に据えられているのが、1.8m角のジャイアントテーブル。食事、打ち合わせ、制作作業と用途を限定せず、生活と仕事の核として機能します。
テーブルの製作で最終的に選ばれたのは、シナ合板を2枚重ねて用いる方法。単に貼り合わせただけではなく板の継ぎ目が目立たないよう、天板には厚み分を掘り込み、内部に金属を仕込むことで強度を確保しています。小口にはアルミ材を用い、見た目の厚みが出すぎないよう細やかな調整が施されています。
脚部もまた、このテーブルならではの工夫が凝らされています。視界に入る要素を極力減らすため、脚は棚を兼ねた構成とし、力が一方向に集中しないよう配置を工夫し、足元の抜けを確保しながら、構造的な安定性も担保しています。
素材や構法の選択には、意匠性だけでなく、コストや使われ方への現実的な判断が重ねられています。完成度の高さは特別な素材によるものではなく、どこに手をかけ、どこを抑えるかという選択の積み重ねによって生まれています。
キッチンは床を一段下げ、テーブルと高さを揃えることで、作業のしやすさと視線の連続性を両立。場の切り替えが、行為によって自然に起こる構成となっています。
縦空間の上部には、光を柔らかく落とす仕掛けが施され、時間帯によって室内の表情が変化します。2階から屋外へと続く通路は、室内の延長として計画され、屋上テラスへと導く動線となっています。内と外を強く分けず、移動そのものが空間体験となるよう意図されているのです。
細部はミニマムに抑えられ、主張しすぎないディテールが空間全体を支えています。過度な装飾に頼らず、使われ方の中で価値が立ち上がる住まい。仕事と暮らしが切り替わりながら、同じ場所に静かに重なっていく──その関係性を建築として丁寧にかたちにした住宅です。