飛騨高山にいくと、なぜ狭土秀平という職人が生まれたかが、よくわかる。職人というのは、場所とつながっている。
いい職人ほど、場所と切り離すことができない。にもかかわらず、職人は遠出もする。
挟土とはパリのプロジェクトでも一緒に仕事をした。飛騨の狭土だからこそ、パリでも堂々としている。
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【左官職人 挾土 秀平さん】「土のマエストロ」|大河ドラマ「真田丸」の題字など多方面で活躍する巨匠
ザ・ペニンシュラやアマン東京・洞爺湖G7サミット会議場・羽田空港ファーストクラスラウンジなど国内外で話題の建築に関わってきた、日本を代表する左官職人・挾土修平さんは言葉とストーリーを大切にする人です。
挾土さんは「建物はその土地の気候風土と密接に結びつくものだから、地霊(ゲニウス・ロキ)を感じ取ることが重要だ」と語ります。地霊(ゲニウス・ロキ)を感じ取り、紡ぎだした言葉とストーリーを土壁に塗りこんでいく・・・挾土さんの仕事が芸術的と言われる理由がここにあります。
あまりにも有名になった挾土さんに対して「芸術的な仕事でないとお願いできないのではないか」と尻込みする人が少なくないのですが、「自分たちの仕事を望んでくれるなら、どこへでも行く」というのが挾土さんのスタイル。
「芸術家は好きなことだけしていてもいいのかも知れないが、俺は、望まれればどんな仕事でもするし、さまざま会を敏感に感じることで、新しいチャンスにも巡りえる」これが挾土さんの流儀です。
日本の美意識を建築に反映させたい
高級ホテルやレストラン・テレビ番組のセッティング等々・・・数多くの華やかな舞台で仕事をしている挾土さんですが「左官の王道とは、住宅の壁や座敷・茶室・蔵などの壁を塗ることだと自分は思う。しかし、日本の美意識を活かそうという住宅建築が激減しているからこそ、いろんな仕事をやらざるを得ないのだ」と言います。
同時に「伝統は単なる伝承であってはいけない。伝統を守るためにこそ革新的な仕事をしなければいけない」とも語ります。
わび、さび、ゆらぎ、うつろい・・・長い年月をかけて育まれてきた日本人の美意識と、寒暑乾湿の差が激しい日本の気候に合った建築手法として生まれた「土壁」ですが、今や「コストと手間がかかる」という理由から、大手メーカーが工場で均一生産した工業製品に取って替わられており、それを誰もが許してしまっています。
「日本は優れた職人の国であったはずなのに『もう建築の現場に職人はいらないよ』と言われているような気分になる」・・・挾土さんは嘆きます。
「工業製品の直線や規格品を使ってのシンプルモダンなら誰にでもできる。浮世絵や桂離宮・伊勢神宮などを見れば分かるように、複雑で多様な線や技能を取り入れながらも全体として極めてシンプルにすることができる。そんな日本の美意識は建築の世界から失われてしまった」とも・・・
工業製品だらけの建築の是非は各人の判断に委ねるしかありませんが、「街の景観は人々の心を育むものであり、街の景観が崩れれば人々の心も崩れていく」のです。
欧州には、古くからある街の景観を残しながら暮らしている地域が数多くあり、そうした日常的な景観が多くの人々を惹きつけてもいます。
「日本の気候風土に合うと同時に、日本人の美意識を反映した建築手法でもある『土壁』の建築が、暮らしが息づく街の景観になってほしい」「そのためには建築家に、一生に一度でもいいから、日本の気候風土に根付き、歴史に耐えて後世の日本に伝えられるような建築を創ろうという気概を持ってほしい・・・」
伝統を大切にするからこそ革新的なことに挑戦し続ける「土のマエストロ」挾土秀平さんの願いです。